2012 Fiscal Year Annual Research Report
ティントレット派素描のカタログ化:英国外に所蔵される作品総目録の作成
Project/Area Number |
22520095
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Research Institution | Tokyo National University of Fine Arts and Music |
Principal Investigator |
越川 倫明 東京芸術大学, 美術学部, 教授 (60178259)
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Project Period (FY) |
2010-04-01 – 2014-03-31
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Keywords | 美術史 / イタリア / ヴェネツィア派 / 素描 / ルネサンス / ティントレット |
Research Abstract |
平成24年度には、フィレンツェ、ウフィツィ美術館素描室に所蔵される作品のなかから、7点の素描について作者帰属の変更を提案(これまで工房作とみなされていた素描を、ヤコポ・ティントレット作とする)する論文を執筆し、所属研究室の紀要に英文で公刊した(下記、研究発表の欄を参照)。また、同様に作者帰属をドメニコ・ティントレットと変更すべき作品群を特定し、平成25年度中に同じく英文で論文を発表する準備作業を行なった。 平成24年度9月にストックホルム国立美術館およびアムステルダム国立美術館を訪問し、研究対象の素描の実見調査を行なった。さらに、平成25年3月に、ロンドン、大英博物館およびフィレンツェ、ウフィツィ美術館の素描室を訪問し、あらためて両館が所蔵する中核的作品グループを調査し、作者同定のグルーピングの見直しを行なった。また、この調査旅行を利用してローマで開催中の大規模な「ティツィアーノ展」を見学し、多くの重要な絵画作品を集中的に調査する機会を得た。 作品写真、関連文献資料の収集と整理、データベースへの入力作業は年間を通じて継続し、一定の進捗をみた。継続中の考察として、アムステルダム国立美術館で実見調査した作品を含む、各地に分散所蔵されるドメニコ・ティントレットの油彩素描群の主題ごとの整理を行ない、将来の論文執筆のための基礎データの構築に努めた。 これらの考察を通じて、これまでに公刊されているティントレット関連の素描カタログに対して、かなり大幅な変更を加えうることが明確に示唆された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
対象作品の入力・検討作業はおおむね予定通りに進行し、新たに得られた知見も順次英文の論文として公刊している。24年度は9月と3月の二度、海外調査を行なうことができ、多くの知見を得ることができた。
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Strategy for Future Research Activity |
研究の手続きや、調査の方法に関して、特に変更はない。成果論文の執筆も、これまでのペースで進めていく。学内業務との兼ね合いから、調査旅行を短期間しか実施することができない点が問題であるが、可能な限り未訪問の所蔵先で調査を実施できるように努力したい。
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Research Products
(4 results)