2011 Fiscal Year Annual Research Report
世界美術史における日本の再評価にジョルジュ・サールが果たした先駆的役割
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22520096
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Research Institution | Ochanomizu University |
Principal Investigator |
SCHWARTZ Laure お茶の水女子大学, 大学院・人間文化創成科学研究科, 准教授 (20377013)
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Keywords | ジョルジュ・サール / ギメ美術館 / 美術史 / 博物館学 / 日仏交流 / ルーヴル美術館 / コレクッション / 『人類の美術』 |
Research Abstract |
ジョルジュー・サールの詳細な経歴の作成を目的とした本研究を継続する中で、世界美術史における日本の再評価という観点から見たサールの功績に関する文献の状態がより明らかになってきた。日本の美術品やコレクション、あるいはヨーロッパや日本における極東美術史の発展に関する近年の出版物を入手することで、フランスにおけるミュゼオロジーや日本美術コレクションの歴史においてサールが成した仕事の詳細が分かってきた。フランスでの研究滞在では、カンディンスキー図書館、ルーヴル美術館附属図書館といった様々な施設や美術館に所属する研究員や学芸員の協力を得て、サール自身に関するもののみならず、ルーヴル美術館における初めての日本美術コレクションの展示からギメ美術館への移管に至るまでの歴史に関する多くの資料や情報を入手することができた。サールと、彼と同時代に生きた多くの芸術家との交流を明らかにするこれらの資料は、その多くが日本だけでなくフランスでも未刊資料であるが、これらの資料により、ヨーロッパにおける極東美術研究やその展示に関するサールの考え方、また芸術の位置づけの世界的な向上と博物館学の発展という点から見た彼の革新的な洞察力への理解を深めることができた。目録作成、写真撮影、和訳を進めてきたこれらの資料を段階的に分析し、西洋における日本美術の歴史に関する授業ではこれを基に、ルーヴル美術館及びギメ美術館におけるサールの功績を紹介した。そして、日仏芸術交流、フランスにおける日本美術の評価、そして西洋美術コレクションの国際的な普及に果たしたサールの役割とイニシアチブに関するこうした研究を踏まえ、お茶の水女子大学比較日本学教育研究センターの主催で、2011年7月10日に第13回国際日本学シンポジウム「ヴァン・ゴッホと日本」開催することができた。(http://www.cf.ocha.ac.jp/ccjs/sympo/index.htm)
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
フランスでの数回に渡る研究滞在では、様々な研究施設や美術館(フランス国立図書館、カンディンスキー図書館、ルーヴル美術館附属図書館、ギメ美術館附属図書館)の研究員、学芸員らの協力を得て、美術品コレクター、そして学芸員としてのジョルジュ・サール自身に関することのみならず、ルーヴル美術館・ギメ美術館における最初の極東美術コレクションの歴史に関する非常に多くの情報、資料(私的な古文書、展覧会目録、新聞・雑誌記事、書簡)を収集することができた。これらの資料の目録、写真、和訳によって、大学でこのテーマに関する新しい演習課題を設定し、比較日本学教育研究センターの活動の一環として、日本におけるゴッホの解釈に関する国際シンポジウムを開催することができた。
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Strategy for Future Research Activity |
資料の収集、ヨーロッパ、特にフランスに保管されるジョルジュ・サールの著作の入手、翻訳、分析を基に、今後はサールや彼の功績に関する文献と彼の経歴を提示していく予定である。
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Research Products
(7 results)