2011 Fiscal Year Annual Research Report
ゴシック黎明期北イタリアの修道会美術研究―エミリア地方を中心に
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22520106
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Research Institution | Sophia University |
Principal Investigator |
児嶋 由枝 上智大学, 文学部・史学科, 准教授 (70349017)
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Keywords | シトー会 / ベネディクト会 / ロマネスク美術 / ゴシック美術 / アダムとエヴァ図像 / 皇帝図像 |
Research Abstract |
12世紀後半の北イタリアでは、ロンバルディア・ロマネスクが独自の様式・図像を展開していた。すでにこのゴシック黎明期の北イタリアにおける中世都市国家聖堂に関わる美術の展開については研究を進めてきた。しかし、この展開に重要な役割を担ったとされる北イタリアの修道会美術に関してはいまだ多くのことが詳らかでない。 こうした状況をふまえ、エミリア地方の三箇所の修道院に焦点をあてて、このゴシック黎明期の北イタリア美術の展開の具体的な状況について研究を行っている。特にゴシック様式の導入時期とアダムとエヴァ彫刻図像が研究の中心となっている。 本年度は、各修道院での現地調査をさらに進めるとともに、ローディ大聖堂とピアチェンツァのサンタントニーノ聖堂の調査も行った。 また、パルマ国立古文書館、ピアチェンツァ国立古文書館、ピアチェンツァ大聖堂参事会古文書館、サンタントニーノ聖堂参事会古文書館(ピアチェンツァ)、ローディ大聖堂参事会古文書会で史料調査を実施した。特に、12世紀後半の聖堂参事会の構成、そして修道院造営・運営に関する文書、そして中世後期の秘蹟と典礼に関して調査を進めた。 ローディ大聖堂とピアチェンツァのサンタントニーノ聖堂に関しては、12月に立教大学で開催された研究会において研究経過を報告した。また、ゴシック黎明期の特異な図像である古代ローマ皇帝図像および神聖ローマ皇帝図像関する論文をイタリアの論文集に掲載した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
北イタリア各地の古文書館および図書館において必要な史料・資料を調査できた。日本の研究会において研究の経過を報告できたことは今後の研究の糧となった。さらに、イタリアでも論文を出版できた。 しかし、一方で当初計画していたプリンストン大学にあるクリスティアン・インデックス研究所での調査が果たせなかった。
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Strategy for Future Research Activity |
今後は、必要な関連古文書館および図書館での調査、現地調査を完結する方向に向かう必要がある。特に23年度に果たせなかったプリンストン大学のクリスティアン・インデックス研究所での調査を実施する必要がある。 効果的に海外調査を実施するためには、年度初頭から、学務、授業、研究の配分を細心の注意を払って行う必要がある。
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Research Products
(6 results)