2012 Fiscal Year Annual Research Report
17世紀フランスにおける歴史画と挿絵本との関係についての総合的研究
Project/Area Number |
22520110
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Research Institution | Nihon University |
Principal Investigator |
木村 三郎 日本大学, 芸術学部, 教授 (00130477)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
栗田 秀法 名古屋大学, 文学研究科, 教授 (10367675)
安室 可奈子 日本大学, 芸術学部, 研究員 (10419749)
小野崎 康裕 川村学園女子大学, 人間文化学部, 教授 (30194608)
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Project Period (FY) |
2010-04-01 – 2013-03-31
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Keywords | 歴史画 / 挿絵 / ラ・ヴリリエール / コンティ / プルタルコス / プッサン / ジェラール / アルカディア |
Research Abstract |
木村は、フランス17世紀で、パリで最も高い完成度を誇ると称されたラ・ヴリリエール邸ギャラリーに展示された歴史画についての研究を行った。プッサン作《ファレリーの教師》を中心とした作品群がパリの画家たちだけでなく、知識人たちに受容された知的環境について分析を行った。一方で、論文「ナターレ・コンティ」論では、最も奇怪だともいえるこの翻案神学書は、究極の奥義が極まった知識として開陳されている事実を分析した。この時代の歴史画では、時に神話図像上のモチーフがそこに混在する場合があり、その事情を分析した。 小野崎は、フランス17世紀の歴史画を生んだ文書的典拠である、プルタルコス『対比列伝』を研究した。プッサン作《幼いピュロスの救出》、《フォキオンの葬送》等の絵画を生んだこの書物は、先ず、ギリシャ語写本がイタリアのフィレンツェにもたらされた、その後、ラテン語訳された。それが、どのように、16世紀に仏語訳されて画家の典拠になり得たかを、一次資料に基づいて追跡した。 栗田は、プッサン作《アルカディアの牧人たち》(ルーヴル美術館蔵)について、 「知恵」と「恒心」のテーマをめぐって、考察した。銘文解釈をめぐるパノフスキーの議論から現在に至る研究史の中で、依然としてその役割に議論が残る画面右端に登場する高雅な女性像に注目して分析した。 安室は、ジェラール作《パリに入場するアンリ4世》(1819年、ヴェルサイユ宮国立美術館)に関わる初期サロン批評史をまとめた。1975年のカウフマンの先行研究によれば、注文主のルイ18世は、王政復古期における王室とブルジョワ市民階級との共存を図ろうとして、注文したと指摘されている。本論考では、そこでは触れられてこなかった同時代の初期資料群を詳細に分析した。
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Current Status of Research Progress |
Reason
25年度が最終年度であるため、記入しない。
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Strategy for Future Research Activity |
25年度が最終年度であるため、記入しない。
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