2012 Fiscal Year Annual Research Report
古代末期の信仰集団をめぐる美術研究―オスティア・アンティカ遺跡を中心に
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22520112
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Research Institution | Rikkyo University |
Principal Investigator |
加藤 磨珠枝 立教大学, 文学部, 准教授 (40422521)
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Project Period (FY) |
2010-04-01 – 2013-03-31
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Keywords | 美術史 / 考古学 / オスティア / ミトラス教 |
Research Abstract |
本年度で本科研の最終年度を迎えるが、これまで行ったオスティアと関連都市(ローマ、エルサレム)の同時代美術との比較分析の成果を美術史学会にて発表した。8~9世紀のローマの美術史研究では、当時の教皇たちが推進した教会堂刷新について、コンスタンティヌス大帝以後の「教会の勝利の時代」を模範とする復古的側面が強調され、カロリング・ルネサンスとも呼応して理解されてきた。しかし、ローマの港町オスティアのイゾラ・サクラに残るサン・イッポリト教会堂内で発掘された浮彫装飾とローマのサンタ・プラッセーデ聖堂、サンタ・マリア・イン・トラステヴェレ聖堂の同装飾との類似性に注目し、それらと南北イタリアのランゴバルド美術との関係を論ずることで、当時のイタリア半島における広範な芸術交流を浮き彫りにした。従来、港町オスティアは、初期中世にはほとんどその都市としての機能を失っていたと解されるが、当時新たに導入された教会堂装飾を鑑みると、初期中世におけるオスティアの意義について今後、さらに再検討してみる価値はあるだろう。 これらの研究成果に加えて、オスティア遺跡では今年度もミトラス教、ユダヤ教、初期キリスト教遺構の現地調査を実施し、未入手であった部分の画像資料の収集を行うと同時に、オスティア古代博物館所蔵の関連作品についても調査を行った。これらを通じて、これまで未解明のオスティアの「牡牛を屠るミトラス神」の諸作例の発展が、古代末期(2世紀末~3世紀末)の間にその内的意味を変化させ、一種の象徴表現へと異化していることを確認した。今後はその研究成果を踏まえて、古代末期の都市環境に混在していた様々な宗教美術の発展をたどる研究をさらに深化させていく。
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Current Status of Research Progress |
Reason
24年度が最終年度であるため、記入しない。
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Strategy for Future Research Activity |
24年度が最終年度であるため、記入しない。
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