2012 Fiscal Year Annual Research Report
上方浮世絵展企画に向けての国内外所蔵調査と作品の基礎的研究
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22520113
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Research Institution | Kansai University |
Principal Investigator |
北川 博子 関西大学, 博物館, 非常勤研究員 (30425061)
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Project Period (FY) |
2010-04-01 – 2014-03-31
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Keywords | 芸術諸学 / 美術史 / 浮世絵 / 近世上方文化 |
Research Abstract |
(1)実地調査:国内では、たばこと塩の博物館、兵庫県立歴史博物館、千葉市美術館、神奈川県立歴史博物館、関西大学図書館、海外では、オランダのライデン民族博物館、ベルギーの王立美術歴史博物館で上方浮世絵関連資料の実地調査を行った。その他、図録・Webサイトからデータを入力した。作品考証が必要な場合、大阪府立中之島図書館や早稲田大学演劇博物館、国立国会図書館などで資料閲覧を行った。 (2)浮世絵展の企画・開催への協力:「北斎 ‐風景・美人・奇想‐」(10月30日~12月9日、於:大阪市立美術館)のため、担当学芸員秋田達也氏の関西大学図書館と阪急文化財団への調査に同行し、図録へ「北斎の大坂の弟子たち」を寄稿した。 (3)展覧会見学:浮世絵に関連した「ホノルル美術館所蔵 北斎展」「浮世絵師 溪斎英泉」「没後120年記念 月岡芳年展」「江戸の判じ絵~再びこれをはんじてごろうじろ~」等の展覧会はもちろん、広く美術史を理解するためにも「たくみのたくらみ~きせる・たばこ盆・たばこ入れにみる職人の手技~」「狩野派以外も大賑わい」等、美術関連の展覧会を見学、展示の構成や方法、図録の編集などについて理解を深めた。今年度はそれら国内の展覧会に加え、ルクセンブルクで開催された上方浮世絵の展覧会「Schätze der Kamigata」を見学、世界の中で上方浮世絵がどのように捉えられているのかを視察した。 (4)一般への啓蒙:11月25日に開催された「北斎 ‐風景・美人・奇想‐」(大阪市立美術館)の講演会では、「北斎と上方浮世絵界」、12月10日に箕面シニア塾(箕面市文化財団)で行った講座では「ジャポニスムと浮世絵」、2月19日に芦屋ユネスコレディスセミナーハウスで行った講座では「上方浮世絵の魅力 ‐世界の中の日本文化‐」と題して講師を務め、一般に馴染みの薄い上方浮世絵への理解を求めた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
国内はもちろん、韓国やオランダ、ベルギーの美術館・博物館での上方浮世絵の所蔵調査とデータベースの入力が順調に進んでいる。調査の結果は諸機関に報告しているので、所蔵品整理に協力していることにもなる。また、上方浮世絵についての口頭発表や論文発表も行っているので作品研究もかなり進んだ。 なお、2012年には本研究が認められ、NHKプラネット近畿が研究代表者監修の「上方浮世絵展(仮称)」を主催、本研究が終了する2014年4月より大阪歴史博物館、山口県立萩美術館などを巡回をすることが決まった。当初、上方浮世絵展の「企画」を目指していたのが「開催」の実現まで到達できる見込みがたったわけである。従って、当初の計画以上に進展しているものといえるだろう。
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Strategy for Future Research Activity |
本研究の集大成として開催される「上方浮世絵展(仮称)」に向けて、作品実見のための調査と研究を行う。具体的には、これまでの3年間に調査を行った大阪歴史博物館、大阪城天守閣、大阪市立住まいのミュージアム、和泉市久保惣記念美術館、兵庫県立歴史博物館、熊本県立博物館、千葉市美術館、早稲田大学演劇博物館、神奈川県立歴史博物館などを予定しており、展示に向くかどうか、作品の状態を含め確認を行いたい。 また、この展覧会の図録は、本研究の公開刊行物を兼ねている。従って、2013年度に執筆する図録用の論文と作品解説のため、今まで以上に研究を進めていく予定である。
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Research Products
(4 results)