2010 Fiscal Year Annual Research Report
楽器の音を含めた保存方法の検討-無形の文化財の保存に資する有形文化財の保存方法-
Project/Area Number |
22520133
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Research Institution | National Graduate Institute for Policy Studies |
Principal Investigator |
角 美弥子 政策研究大学院大学, 政策研究科, 研究助手 (50569829)
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Keywords | 文化財 / 無形文化財 / 文化財政策 / 音楽学 / 芸術諸学 / 文化財保存 |
Research Abstract |
今回の研究の主たる目的は、1)楽器の音を含めた適切な保存方法の提示、2)音のデータベース化の検討及びその手法の整理とし、平成22年度は実際の楽器の保存状況と楽器に対応した録音記録の現状についてまず調査した。 調査を予定していた博物館では所蔵楽器の録音を公開しているものはほとんどなく、浜松市楽器博物館が所蔵楽器の音を録音・公開していたが、データではなく曲であった。また、調査を予定していなかった国立音楽大学博物館では僅かではあるが録音を公開していたので、調査対象に含めることとした。尚、先行研究で楽器、特に和楽器の録音を主目的とした調査研究として、近代に入ってからの正倉院の調査があり、その手法も再検討した。調査範囲の拡大は、専門家として助言を仰いだ蔵野音楽大学の薦田治子教授の示唆による。 データ項目は既存の項目を参考にし、ほぼ確定した。録音方法に関しては、実演家と検討し、マイクにて録音するほうが適当であるとの意見を得た。しかしながら、音響の分析にはピックアップで録音することも意義があると考えられ、可能であれば二種類の録音をデータとして収録する方向で研究を進めている。 現状の確認及びデータ項目の検討に時間を割かれたため、ヒアリングが進んでいないが、これは23年度に早急に対処する予定である。現状の調査結果を踏まえ、当初の予定よりも課題点がより明らかになったため、よりよい結果を期待できる。 実地調査の結果とそこから得られた問題点等を学会にて発表した。これは既に学会誌に投稿し、受理された。平成23年度中に掲載される予定である。
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