2011 Fiscal Year Annual Research Report
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22520144
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Research Institution | Kyoto City University of Arts |
Principal Investigator |
竹内 有一 京都市立芸術大学, 日本伝統音楽研究センター, 准教授 (60381927)
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Keywords | 常磐津節 / 浄瑠璃 / 歌舞伎音楽 / 現行曲と稀曲 / 伝承者 / 三味線音楽 |
Research Abstract |
豊後系浄瑠璃のうち、常磐津節の現在における伝承実態を明らかにするため、伝承される現行曲の曲目をリストアップし、そのデータベース作成作業を昨年度に引き続き行った。 調査に際しては、「研究実施計画」に記した9項目の資料と方法によったが、今年度は特に、(A)「常磐津節主要現行曲目一覧表」『日本音楽大事典』(平凡社、1989)および『歌舞伎舞踊現存曲外題一覧』(NHK放送文化財ライブラリー、1967)に掲載されるデータの精査、(B)各種の上演記録から得られたデータの整理、(C)伝承者からの聞き取り調査に力を入れた。 これらの調査により、現在リストアップされている約200の曲目について、その伝承実態の現況を明らかにすることを目指す。それによって、伝承が途絶えかかっている作品の掘り起こしと保護を計画的に進め、生きた伝承への回帰に向けた芸術的活動をより活発に行っていくことができるだろう。 なお、「研究実施計画」の作成後に、常磐津節保存会が3年計画で常磐津節演奏者の経歴に関する調査を行うことになり、その調査主任を担当することとなった。同調査の目的は、本研究とは異なっているが、初演曲等に関するデータは共有することが可能である。実際に、近世の演奏者の経歴を精査し直す作業の途中で、これまで明らかになっていなかった初演者・作曲者が新たに判明する事例も出てきた。これらは伝承される現行曲の基礎データとしてきわめて重要な情報であるので、本研究の成果に取り込んで活用していくこととする。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
資料整理等に従事する研究協力者が、資料の収集整理やデータ入力等の作業を効率よく行ったため。また、豊後系浄瑠璃のうち、主たる調査対象を常磐津節に絞りこんだため。
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Strategy for Future Research Activity |
引き続きデータの収集整理を行うとともに、研究成果のまとめに向けた作業を開始する。 当初の計画を変更して、主たる調査対象を常磐津節に絞り込んだが、残された富本節・清元節については、本研究の終了後にあらためて調査研究を行う際に役立つように、関連する文献やその情報等を保管しておくようにする。
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