2011 Fiscal Year Annual Research Report
メディア・アートの音楽的側面、および「エレクトロニカ」に関する総合的研究
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22520152
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Research Institution | Toho Gakuen School of Music |
Principal Investigator |
沼野 雄司 桐朋学園大学, 音楽学部, 准教授 (00322470)
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Keywords | メディア・アート / エレクトロニカ / 電子音響音楽 |
Research Abstract |
2011年度は、前年度で得られた成果を基にしながら、本研究が設定している二つの到達点へのアプローチを行なった。 まず、第一の「メディア・アートおよびエレクトロニカの発展を歴史的に整理すること」という目的に関しては、基本的文献の収集をほぼ終えるとともに、国内外の主要な施設を訪問して、大きな見取り図を描くことができた。とりわけスイスのザッハー財団における諸資料の検討、およびフランス、パリにおけるIRCAMほかの施設訪問は、歴史的な展望を得る上で決定的に重要な経験となった。これらの施設とは継続的にコンタクトをとっている。 また、第二の目的である「これらの作品群の性格と特徴を詳細に記述し、その美的意義を抽出すること」については、2011年度を通じて数回のシンポジウムおよび小さな研究発表を媒介にしながら、すでに相当の量の記述を蓄積している。とりわけテクノロジーと音楽の関係について、「日本先端音楽創作学会」との共同作業を通じて様々な検討を行うことができたのは大きな収穫だった。 ただし当初の「研究実施計画」については、いくつかの点で変更があった。まず、リンツのアルス・エレクトロニカ訪問が本務校の学務日程上、不可能となってしまったこと、そして当初の計画からの研究費減額などの関係から、トランス・メディアーレの訪問も不可能になってしまったことである。また、資料収集という点でいえば映像資料の収集が難航しており、これは大きな課題となっている。2012年度はこれについての反省から、早めに各所との調整を行なうとともに、効率のよい海外訪問を実現し、研究最終年度にふさわしい充実したものとしたい。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
ほぼ当初の計画通りに進行している。ただしとりわけ海外調査の点で、本務校との授業の兼ね合いが難しく、当初の予想通りには展開していないことが反省点としてあげられる。
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Strategy for Future Research Activity |
今度の推進方策については、大きな変更はない。3年目となる本年度は、これまでに蓄積した成果をさまざまな場所で発表しながら、最終的なまとめとしたい。
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