2011 Fiscal Year Annual Research Report
演劇・映画を通して表出されるアボリジニのアイデンティティ
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22520154
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Research Institution | Waseda University |
Principal Investigator |
澤田 敬司 早稲田大学, 法学学術院, 教授 (50247269)
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Keywords | 先住民 / オーストラリア / アボリジニ / 演劇 |
Research Abstract |
オーストラリア先住艮演劇における重要な二作品について、実践的調査を伴った研究を行った。 まず、スコット・ランキン+トレヴァー・ジェイミソンによる『ナパジ・ナパジ』は、1950,60年代にオーストラリアの砂漠地帯で行われた英国の核実験によって離散した先住畏ビジャンジャジャラの人々の歴史と今を描いた作品だが、研究代表者の翻訳により、日本で初めて上演を行った。公演に伴うシンポジウムなどで、来日した作者スコット・ランキンとともに、この作品が成立した背京や意義についての発表を行った。 次に、ジョン・ロメリル作『ミス・タナカ』は、オーストラジアにおける、先住民アボリジニと、日系移匙、アジア太平洋諸島出身の交流を描いた作品である。この作品をオーストラリア学会全国研究大会と早稲田大学演劇博物館GCGEの共催によって、研究代表者の翻訳により上演を行った。また、作品背景・意義に関して、招聘した作者ジョン・ロメリルや、文化人類学者を交えて同学会にて発表を行った。 また、アーネムランドのエルコ島のマルチメディア・パフォーマンス『ロング・スキン」を、研究対象作品に取り上げた。同時期に、日本とカナダの先住民芸術家のコラボレーションによる作品「ススリウカ」が日本で上演され、研究代表者もその制作過程から関わることが出来た.「先住畏演劇」をオーストラリアの文脈からグローバルな文脈に広げる視点を確保するために、『ロング・スキン』と『ススリウカ』の比較検討を行った。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
研究計画の中で挙げた分析対象作品と、現在まで達成された成果とでは作品の順番が前後しているが、この研究では実際に硫究代表者の実践によって作品の日本における上演と連動する形ですすめており、問題はない。むしろ、上演を機会として作者、制作者を日本に招き、インタビュー調査や共同での発表などの機会を得られるので、研究計画で想定していた以上の成果を得られている。
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Strategy for Future Research Activity |
作品の上演と連動する形で、制作者、作者とのインタビュー調査、議論を重ねながら研究を推進するという手法は有効であることが分かったので、この方法を用いて今後も勧めていく。また本研究の成果を、期間終了後、著書の形でまとめることを予定しているので、それを実現させるための作業を開始する予定である。
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Research Products
(8 results)