2010 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
22520165
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Research Institution | ARIAKE College of Education and the Arts |
Principal Investigator |
前原 恵美 有明教育芸術短期大学, 芸術教養学科, 講師 (70398725)
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Keywords | 常磐津節 / 豊後系浄瑠璃 / 演奏家研究 / 三味線音楽 / 伝統芸能 |
Research Abstract |
【研究実績の具体的内容】 1.町田嘉章による未公開メモの清書コピー、『常磐津太夫芸歴列伝』『常磐津家元伝記』『三弦手列伝』(以下「三資料」)全文のワープロ入力を完了した。 2.三資料の情報源の追跡調査として、「吉原細見」の名寄に記載された男芸者のデータ入力を行い、常磐津姓の者の抽出作業を行った。 3.2.と三資料、芝居番附等の照合に着手した。 4.3.の過程で、複数の演奏者について、吉原の男芸者と歌舞伎芝居を兼業していた可能性が非常に高いとの確信を得た。 5.4.に該当する演奏者の中でも、常磐津節演奏家研究上、重要な演奏家である三代目常磐津造酒(みき)太夫について(社)東洋音楽学会第61回大会で口頭発表した(「芝居の演奏家と吉原の男芸者の兼業-三代目常磐津造酒太夫を中心に-」)。 6.明治から大正期の常磐津節演奏家に関する聞き取り調査として、常磐津節界の重鎮である常磐津英寿(重要無形文化財保持者、人間国宝)に3回(計約6時間)のインタビューを行い、木挽町派(常磐津文字兵衛家)と明治時代の名人・常磐津林中の係わりについて重要な証言を得ているほか、英寿が所蔵していた林中直筆の貴重な浄瑠璃本100点あまりが盛岡市先人記念館に寄贈されたことを確認し、先方の担当者を紹介して頂いた(今年三月の震災で予定が遅れているが、次年度に調査報告予定)。 【意義・重要性】 1.三資料を起点とした常磐津節演奏家研究は、傍証資料が膨大なため簡単には進まないが、すでに三代目造酒太夫をはじめ、複数の演奏家の新たな局面を明らかにしつつあり、今後の常磐津節研究および、江戸時代の三味線音楽演奏者の音楽活動の在り方に一石を投じることが期待される。 2.明治時代以降の常磐津節研究がほとんど進んでいない状況下で、英寿の証言は非常に重く、成果が期待される。林中の浄瑠璃本調査はもちろん、英寿への聞き取り調査も続行予定である。
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Research Products
(1 results)