2012 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
22520170
|
Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
多田 一臣 東京大学, 人文社会系研究科, 教授 (50092268)
|
Project Period (FY) |
2010-04-01 – 2013-03-31
|
Keywords | 万葉集 / 万葉語彙 / 万葉語誌 |
Research Abstract |
本年度は当初、昨年度九割方完成していた『万葉集全解』全七巻の電子データを完成させ、その完成版を、一昨年度から組織として構築した万葉語誌研究会のメンバー(多田ほか6名)に配布した。その上で、昨年度からの継続として、全万葉語彙の中からランク付けして選んだ基礎語彙150語について、ほぼ隔月に開催した研究会において、それぞれが用例の精査に基づく研究発表を行った。現在は、研究会での数次にわたる徹底した検討を経て、メンバーの各人がそれぞれの語についての語誌をまとめ、その原稿化をはかっている段階である。この原稿はすでに八割方完成しており、これを、本科学研究費による成果として、本年秋には『万葉語誌』の書名で、筑摩書房から刊行することになっている。なお、右は今後に予定される本格的な『万葉集辞典』作成の基礎となる重要な成果であるが、なお『万葉集』の語彙の表現論的研究は継続していかなければならないと考えている。 本年度は、本科学研究費の成果を利用して、上代文学会大会において「母の甜き乳をめぐって」と題する招待講演をおこなった。チ(乳・血)という言葉に内在する呪力(=生命力)の意義について、『万葉集』のみならず、記紀等の資料を用いてあきらかにした。なお、この発表は同題で雑誌『上代文学』に掲載されている。また本年度は、年度末に『古代文学の世界像』(岩波書店)を刊行した。古代人にとって言葉の想像力がもたらしたものは何であったのかを、その世界像をもとにあきらかにした論著である。所収の論のいくつかは、『万葉集』の言葉の表現を具体的に扱っており、これまた本科学研究費の重要な成果の一つにあたる。他にも、本科学研究費を利用して、日本文学協会研究発表大会(長野県短期大学)などに参加し、質疑・討論に加わり、有益な成果をあげることができた。
|
Current Status of Research Progress |
Reason
24年度が最終年度であるため、記入しない。
|
Strategy for Future Research Activity |
24年度が最終年度であるため、記入しない。
|
Research Products
(4 results)