2012 Fiscal Year Annual Research Report
志賀直哉に師事した池田小菊の戦中戦後―奈良・文学・政治―
Project/Area Number |
22520181
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Research Institution | Nara Women's University |
Principal Investigator |
吉川 仁子 奈良女子大学, 研究院人文科学系, 講師 (90243352)
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Project Period (FY) |
2010-10-20 – 2013-03-31
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Keywords | 池田小菊 / 全国書房 / 女流作家叢書 |
Research Abstract |
平成24年度は、池田小菊と全国書房の関連の調査研究を進め、特に女流作家叢書の成立について明らかにした。 全国書房は昭和16年から書籍の刊行を開始した関西の出版社である。社主田中秀吉がかつて朝日新聞紙上に連載された「帰る日」の作者としての小菊を覚えており、彼女を全国書房の顧問格として迎え、出版のアドバイスを仰いだとされる。女流作家叢書は全国書房草創期の文学作品出版のさきがけとして手がけられた事業であり、小菊は、自らも原稿を執筆するとともに、叢書の執筆者の選定のための上京、執筆者との書簡での度々のやり取りなど、叢書出版のため精力を尽くした。叢書は1池田小菊『来年の春』、2網野菊『若い日』、3中里恒子『家庭』、4壺井栄『石』、5窪川稲子『気づかざりき』、6真杉静枝『母と妻』の6冊からなる。 調査研究の成果は「池田小菊と全国書房版女流作家叢書」(『叙説(奈良女子大学)』大学・研究所紀要 単著 40号 2013/03)に活字化した。この論文において、全国書房の草創期の検討、女流作家叢書の本の書誌事項の確認、執筆者の選定にあたってのやりとりから窺える女性作家間の動向とネットワークの解明、本を作ることへの女性作家のこだわりと装丁者の調査等を行い、報告した。 前年度に引き続き、小菊資料の画像データ化を行い、自筆のノート類や草稿類約20種をスキャナでデータ化した。そのうちには、ゲラ刷りの段階で発禁処分になった「身中の虫」も含まれる。 小菊の戦後の婦人会活動期の雑誌『婦人奈良』のデータや、資料データの公開については、個人名などの関係から慎重を期すため実現していないが、公開の可能性を引き続き今後も検討していきたいと考えている。
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Current Status of Research Progress |
Reason
24年度が最終年度であるため、記入しない。
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Strategy for Future Research Activity |
24年度が最終年度であるため、記入しない。
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