2012 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
22520187
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Research Institution | Yamaguchi Prefectural University |
Principal Investigator |
稲田 秀雄 山口県立大学, 国際文化学部, 教授 (80264969)
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Project Period (FY) |
2010-04-01 – 2013-03-31
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Keywords | 狂言 / 鷺流 / 長州藩 / 春日庄作 |
Research Abstract |
平成24年度は、山口に鷺流狂言を伝えた長州藩抱えの狂言役者である春日庄作(しゅんにちしょうさく)の自筆台本(山口鷺流狂言保存会及び山口県立大学附属郷土文学資料センター所蔵)に収められた曲目の系統的分析を行った。 春日庄作(1816~1897)が筆録した台本は、現在も伝承されている山口鷺流において極めて重要な位置にある。その所収曲について、他の鷺流台本及び他流の台本を参照しつつ、要点を比較していくことで、各曲目を系統的に位置付ける作業を行った。 春日庄作自筆本所収曲35曲(重複あり)のうち、24年度は「首引」「弐人り袴」「清水」「皹り」「栗焼」「地蔵舞」「呼声」「昆布売」「八句連歌」「鬼瓦」の11曲を分析した。その結果、それらは基本的に鷺伝右衛門派の系統に属することは疑い得ないものの、曲目によっては、大蔵流の台本にかなり近いもの(「首引」「弐人り袴」)や、他の伝右衛門派台本(江戸を拠点にした役者が筆録したもの)と相違する部分の存する事例(「清水」「呼声」)があることが判明した。また、鷺流はもとより、他流・他派の台本に類のない詞章や演出が含まれる事例(「皹り」)も見出された。春日庄作が、江戸において10世鷺伝右衛門(寛太郎)に師事したことは従来から知られていたが、このたびの分析により見出された事例からすると、春日庄作が筆録した狂言は、必ずしも中央の鷺伝右衛門派台本の単純な継承ではなく、独自の工夫(春日庄作自身によるものか、長州藩としてのものかは今後の検討課題である)を加えたものであることが明らかとなった。 以上の分析結果を研究論文にまとめ、『山口県立大学国際文化学部紀要』19号(2013年3月)に掲載した。また、成果の一部は、第7回東京文化財研究所無形文化遺産部公開学術講座(2012年12月8日)における研究講演「山口鷺流狂言の歴史と位置」に生かすことができた。
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Current Status of Research Progress |
Reason
24年度が最終年度であるため、記入しない。
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Strategy for Future Research Activity |
24年度が最終年度であるため、記入しない。
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