2012 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
22520189
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Research Institution | Meikai University |
Principal Investigator |
市川 桃子 明海大学, 外国語学部, 教授 (20212996)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
三上 英司 山形大学, 教育文化学部, 教授 (30219597)
劉 勲寧 明海大学, 外国語学部, 教授 (90261750)
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Project Period (FY) |
2010-04-01 – 2014-03-31
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Keywords | 江戸漢詩 / 日本漢詩 / 明治漢詩 / 杉浦梅潭 / 杉浦誠 / 函館奉行 / 漢詩 |
Research Abstract |
国文学資料館蔵の『梅潭詩鈔』浄書本を参考に、刊本におさめられている590余首の読解と分析を終了した。毎週遅くまで研究会を開いて、作品を一つずつ丁寧に分析することが出来、満足である。研究分析の成果には、各作品について「本文、訓読、日本語訳、語釈、解説、補遺、参考文献」を記している。また、必要に応じ、杉浦家の協力を得て、作品に描かれている内容についての解説も加えている。解説及び補遺には、作品の時代的な背景、伝記的な背景、登場人物の解説、参考資料などをあげている。 さらに、活字本にはない安政年間から明治七年までの作品の中から主要なものを選び、分析を進めている。この期間は、江戸幕府から明治政府への移行期であり、幕臣たちがどのような心情でこの時期を乗り切ったのか、作品の中から如実に知られて、今後、分析が進むにつれて、有意義な成果が得られることと期待する。 江戸から明治にかけて、知識人は、和歌及び俳句のような短型の詩では表現しきれない思想や感情を、漢詩によって表現した。したがって、当時の日本人にとって、漢詩は非常に重要な分野であった。現在では一般に人々が漢詩をそのまま読んで理解することが難しくなっている。従って、この激動の時代に人々がどのように感じて身を処してきたのかを知るために、この時代の漢詩の読解は重要な意味を持つ。本論はそうした研究の一端を担うものである。杉浦梅潭は幕府の旗本であり、幕末に幕府の官僚として活躍し、明治に入ってからは明治政府に官吏として勤めた。まさに幕末の激動期を役人の立場で体験した人物であり、その漢詩を読み解くことは、上記の意義に合致する。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
当初のひとつの計画である作品読解を終え、原稿作成に向かっている。さらに、その成果をもとにして、江戸末期から明治初期にかけての幕臣の動きに関する論考の準備を進めている。大きな成果を上げられることと期待している。
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Strategy for Future Research Activity |
杉浦誠『梅潭詩鈔』五九〇余首の読解と分析について、原稿を整理し、出版の準備をする。 この成果に基づいた論考「杉浦梅潭をめぐる人々」「函館時代の杉浦梅潭」「遺臣の心」「詠史詩に見られる感懐」(いずれも仮題)などを執筆する。
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