2012 Fiscal Year Annual Research Report
人形浄瑠璃の操り方の変遷に関する研究―江戸系鉄砲ざしの検証と再現―
Project/Area Number |
22520196
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Research Institution | Showa Women's University |
Principal Investigator |
大谷津 早苗 昭和女子大学, 生活機構研究科, 教授 (40255899)
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Project Period (FY) |
2010-04-01 – 2014-03-31
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Keywords | 民俗学 / 国文学 / 芸術諸学 / 文化史 / 民俗芸能 / 伝統文化 / 人形浄瑠璃 / 文楽 |
Research Abstract |
本課題研究では、うなづき構造の史的発展過程において現在の文楽の前段階に位置付けられる鉄砲ざしの操り方を検証し、文楽の高度な人形操作への発展過程について考察を行うことを目的とする。本研究で取り上げる資料は神奈川県の相模人形芝居五座で伝承されてきた江戸系鉄砲ざしである。五座の古い伝承者に聞取調査を行い、調査結果を整理し、今や消えようとしている鉄砲ざしの遣い方を文字と映像によって資料化する。その上で、その資料をもとに文楽の操り方と併せて考察することで、鉄砲ざしから文楽の操り方への発展過程の解明を目指す。 24年度の聞取調査は小田原市の下中座と厚木市の林座各1回、下中座4名林座3名の、いずれも古い座員の方にお話を伺った。24年度は長谷座の台本調査も行った。約100点について実見・撮影等の調査を実施、以前に調査済のかしらと衣裳のデータと併せて整理を行った。また、25年度の課題研究最終年度に実施予定の鉄砲ざしの再現映像撮影に向けての準備として、鉄砲ざしの用具製作を行った。24年度は人形の衣裳・小道具等を発注、製作が完成した。 鉄砲ざし以前の研究としては、資料紹介「三重県松阪市崑崙舎所蔵中国木偶人形」を『昭和女子大学文化史研究』第16号(昭和女子大学文化史学会、2013年3月)に発表した。この中国の木偶人形は平成18年度~20年度基盤研究(C)「人形浄瑠璃「かしら」のうなづき構造成立に関する研究」という課題研究の中で調査を行った資料である。日本にある中国伝来の木偶人形を中国の人形戯研究者見解を紹介すると共に、日本の人形との比較の視点から、共通点相違点等を指摘し今後の課題を示した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
予定していた聞取調査及び用具製作はおおむね順調に完了できた。また、以前に調査した長谷座に関して、24年度は台本調査を行うことができた。しかし、聞取調査対象者が高齢のため、体調等の具合でなかなか調査の実現までに至らないことがある。高齢の方が多いゆえに、話者の新たな掘り起こしにも時間がかかる。よって、おおむね順調に進んではいるが、それ以上の進展は難しい。
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Strategy for Future Research Activity |
25年度は今までの鉄砲ざしの検証をまとめ、それをもとに鉄砲ざしの再現映像・資料映像を製作する。相模人形芝居における鉄砲ざしの証言や話者の捜査、各座の資料収集は引き続き行っていく。
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