2011 Fiscal Year Annual Research Report
島津家家伝の生成過程と軍記物語・兵法書の関係についての遡及的研究
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22520201
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Research Institution | Meiji University |
Principal Investigator |
鈴木 彰 明治大学, 政治経済学部, 准教授 (40287941)
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Keywords | 島津家 / 武家家伝 / 軍記物語 / 兵法書 |
Research Abstract |
資料調査については、昨年度から引き続いて、鹿児島県歴史資料センター黎明館所蔵の玉里島津家資料の調査を行った(3回)。関連資料の書誌を調査し、デジタルカメラで撮影した。本年度は、尚古集成館での調査も計画していたが、館の業務上の事情により調査が叶わなかった。来年度以降も状況が変わらない可能性もあるとのことで、その場合は計画を修正せざるを得なくなった。その他、鹿児島県立図書館、鹿児島大学附属図書館、都城島津邸等に赴き、撮影・コピー等の形で関連資料の収集を進めた。島津斉興関係資料を中心に、順次資料の内容を検討しつつ、目録作成に向けた整理を継続中である。 資料分析は、昨年度以来、I 島津斉興期、II 島津光久期、III 室町・戦国期の三段階に分けて進めることとしている。本年度はIII期に重点を置き、戦国期の問題について分析を深めることができた。とりわけ、山田聖栄関連資料の収集と分析を大きく進めることができた。軍記物語と島津家家伝に関わる薩摩・大隅・日向地域の文化環境に注目した成果の一部を、中世文学会春季大会のシンポジウムにて報告した。この内容は、学会機関誌『中世文学』に掲載予定である(校正中)。また、I期の斉興に関わる資料群の分析を通して、19世紀前半期の全国的な動向と共振しつつも独特な個性をもって自己認識を体系化していった斉興の個性が明らかとなった。こうした研究成果をまとめ、後述する公開研究集会で報告した。この発表の内容は現在論文化を進めている。なお、年度内には間に合わなかったが、近時刊行予定の関連論文も複数存在する。 公開研究集会を2012年3月11日(日)に黎明館講座室にて開催した。本年度は隼人文化研究会の協力をうけて、鈴木による本研究課題の成果報告と、梶原武氏(鹿児島県立鶴丸高校)、新福大健氏(黎明館)、宮腰直人氏(立教大学)の関連報告を行った。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本研究の基盤を形づくる調査である黎明館での資料調査が、館の協力のお陰をもって順調に進んでいることが何よりも大きな要因である。
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Strategy for Future Research Activity |
最終年度に向けて、成果のまとめに入っていく。本年度は実現できなかった尚古集成館での調査に取り組みたいと考えているが、前述したように館の事情によってそれが叶わないかもしれず、そのときは調査を次年度以降に延期せざるをえない。将来的な課題を見定めながら、他の資料群に関する分析を深化させることで本研究の全体像についての調整をはかりたい。また、成果報告に力を入れ、論文・研究発表の機会を活用していく。
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