2010 Fiscal Year Annual Research Report
南北朝期から江戸初期における書物の移動に関する基礎的研究
Project/Area Number |
22520203
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Research Institution | Meisei University |
Principal Investigator |
前田 雅之 明星大学, 人文学部, 教授 (00209389)
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Keywords | 書物の移動 / 古典 / 進上献上 / 下賜 |
Research Abstract |
22年度において、当該研究は二つの大きな柱によって遂行された。 第一は文献調査である。8月17日~19日に、島原松平文庫で精力的な文献調査を行った。参加者は、前田の他、研究協力者である岡崎真紀子(静岡大学准教授)、松本麻子(青山学院大学非常勤講師)、渡瀬淳子(早稲田大学非常勤講師)、松本大(大阪大学大学院博士課程在籍)の計五名で行った。島原は松平忠房が書写し、集めた巨大な古典文庫である。書写年代は古くはないが、ある意味で、書物の移動の結果が顕著に見られる文庫でもある。実際に、文庫で書写されていない古典籍もそれなりの数に昇る。 とはいえ、まだまだ調査したりない書物も多々あるので、再度の調査をおこないたく考えている。 第二は、研究会活動である。7月18日、11月21日、2月20日の計三回催した。当初の計画では、3月13日を予定したが、東日本大震災の直後であり、中止のやむなきに至ったことは今でも残念である。研究会では、1,書物の移動データベースの各自分担確認・方法についての討議、2,書物の移動データベースに関する研究発表、3,『花鳥余情』の読書会からなる。なお最後の研究会から、有志を募って、研究会前に、『四書童子訓』の読書会もはじめた。『花鳥余情』・『四書童子訓』を編纂した一条兼良は、書物の移動の問題でも、三条西実隆と並んで特別の重みを持つ。故に今後も持続したい。参加メンバーは、上記の五人の他、内田澪子(お茶の水女子大研究員)、高津希和子(渋谷学園教喩)である。
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