2012 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
22520223
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
大河内 昌 東北大学, 文学研究科, 教授 (60194114)
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Project Period (FY) |
2010-04-01 – 2013-03-31
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Keywords | 感傷主義 / 美学 / 道徳哲学 / 感傷小説 / 趣味 |
Research Abstract |
18世紀イギリスの文学と思想における「感傷主義」の射程に関する研究を進めた。とくに焦点を当てたのは、感傷小説と市民法学的な論考における、法と道徳の関係である。18世紀イギリスの道徳哲学は、徳と法の両方の起源を理性よりもむしろ感情や共感といった情動の中に、市民社会の秩序を支える原理を発見しようとする企画を推し進めた。しかし、「感覚」は本来個別的なものであり、それを普遍的な妥当性をもつ社会的原理として構想するためには、複雑な推論の手続きが必要となるのである。この時代の道徳哲学と感傷小説はともに、個人に起源をもつ感情が、いかにして普遍性と一般性をもつのかという問題を解明するという使命を共有していたと言えるのである。今年度はとくにマッケンジー(Henry Mackenzie)とリチャードソン(Samuel Richardson)の感傷小説とハチソン(Francis Hutcheson)の市民法学的な議論に焦点を当てた。これらの作家において、感受性と法の対立が共通して中心的テーマとして現れる。そのあつかわれ方はかなり異なっているが、中心的な問題は同一なのである。これらの作家のテクスト分析を通して、18世紀に誕生した道徳哲学の言説と小説の言説がともに、個人に起源をもつ感情が、いかにして普遍性と一般性をもつのかという問題を解明するという使命を共有していたということをあきらかにした。
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Current Status of Research Progress |
Reason
24年度が最終年度であるため、記入しない。
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Strategy for Future Research Activity |
24年度が最終年度であるため、記入しない。
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Research Products
(4 results)