2014 Fiscal Year Annual Research Report
西洋文化圏における「凝視」と「注意」の文化史的意義の研究
Project/Area Number |
22520231
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
阿部 公彦 東京大学, 人文社会系研究科, 准教授 (30242077)
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Project Period (FY) |
2010-04-01 – 2015-03-31
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Keywords | 英文学 / 米文学 / イギリス文化 / 日本文学 / 日本文化 / 凝視 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究の目的はふたつの段階にわけられていた。まずひとつ目の目的としては、人間の知的営為に内在する「凝視」の姿勢を、とくに現代の文字資料や芸術作品、社会制度など具体的な例の中に確認し、批判的に分析すること。このような段階をへることで、凝視という行為を相対化してとらえ、それが必ずしも当たり前の知的プロセスではない、という認識を持つことが重要になる。筆者の専門分野は英米文学および文化ということもあり、分析の対象とする資料や作品は英米のものが中心となってきたが、筆者の母国語である日本語による資料も研究の対象に含めてきた。 筆者はすでに問答形式の言説に焦点をあてた過去の研究成果を土台にしつつ、第一段階の調査・考察を行うことで、本研究ではもうひとつの目的に進んだ。実際に「凝視」をあたり前の知的モデルとして組織されたり、構成されたりしている知的活動について、その問題点や限界を指摘したり、改善策や新たなモデルづくりについて考えたのである。筆者の専門領域ととくにかかわりが深いのは英文学研究や言語教育、とくに英語教育の分野なので、こうした分野の中で、多少なりと提言をすることができたと考えている。 「凝視」に集約されるような知的姿勢は、必ずしも人間にとって必然ではなく、あくまで約束事として前提とされてきたのだという点を踏まえたおかげで、これまでよりも柔軟に人間の認知活動についての考察を行うことができた。その最たる例が、「凝視」から逸脱していると見なせるような、たとえば「眩暈」、「突然の注意喚起」、「注意散漫」、「意気消沈」、「陶酔」、「催眠」といった状況である。こうした状況にあると見なせるような事例を細かく分析検討することで、そこで表現者と受容者がどのようなメカニズムに基づいたやり取りを行うのか、ということをあらためて明らかにすることができたのである。
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Research Progress Status |
26年度が最終年度であるため、記入しない。
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Strategy for Future Research Activity |
26年度が最終年度であるため、記入しない。
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