2012 Fiscal Year Annual Research Report
ダンテの後継者パーマーの作品を通して分析する1970年代以降のアメリカ
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22520235
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Research Institution | Shizuoka University |
Principal Investigator |
山内 功一郎 静岡大学, 人文社会科学部, 准教授 (20313918)
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Project Period (FY) |
2010-04-01 – 2013-03-31
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Keywords | アメリカ詩 / ダンテ / アメリカ社会 / 国際情報交換 |
Research Abstract |
研究計画の最終年度に当たる平成24年度は、以下の問題を解き明かすために充てられた――「ダンテの後継者と目されるアメリカ詩人マイケル・パーマーの作品は、1970年代以降のアメリカ社会と文学の関係をどう示しているか」。 端的に述べれば、本研究によってまず明らかになったことは、パーマーがダンテの提唱した「多義性」(“Polysemy”)に強く共鳴している点だった。そしてさらに本研究は、ダンテとパーマーがいわゆる「反戦詩」ではなく「抵抗詩」を追求したことも解明した。この場合「抵抗」は、直情的な戦争の単なる告発を意味しない。むしろ「抵抗詩」は、「戦争を告発するもの/されるもの」の二項対立を超えた地点に成立する、包括的な思索と詩作の実践を意味する。その結果、パーマーの「抵抗詩」は、単なる「反戦詩」とは呼びがたい「戦争詩」の要素を含むと同時に、それらの相対立する要素が拮抗する複雑な性格を帯びることになった。その性格が、ヴェトナム戦争やイラク戦争を遂行する勢力によって掲げられる単純で勧善懲悪的なスローガンの欺瞞を暴く上で、極めて効果的であることも本研究は証明した。 なお、上述のような本研究の実績の一部は、2012年10月に研究代表者が第51回日本アメリカ文学会全国大会で行った口頭発表の中でも披露された。また実績の全貌は、研究代表者が執筆した英語論文がアメリカ文学会東京支部会発行の学術誌『アメリカ文学』第74号に掲載されることによって、広く公けに発表される(この論文は査読を経て掲載内定済みである。発行予定年月日は平成25年6月1日)。総じて言えば、本研究はアメリカ詩とイタリア詩、そしてアメリカ社会の三要素が密接な関連性を示している点を解明した点に意義が認められる。その成果は、アメリカ文学の専門的研究のみならず、我が国における詩と社会の関係を考察する上でも大いに参考にされ得るはずである。
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Current Status of Research Progress |
Reason
24年度が最終年度であるため、記入しない。
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Strategy for Future Research Activity |
24年度が最終年度であるため、記入しない。
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