2010 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
22520240
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
山田 雄三 大阪大学, 大学院・言語文化研究科, 准教授 (10273715)
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Keywords | モダニズム / ニュー・レフト / レイモンド・ウィリアムズ / ドキュメンタリー |
Research Abstract |
1920年代が盛期モダニズムの時代と言われるのにたいして、1930年代から1950年代は後期モダニズムの時代と言われる。この時代のモダニストのなかで、後のCultural Studies (CS)およびNew Leftが頻繁にふり返り、言及する人物がいる。(1) William Beveridge (2) George Orwell (3) Bertolt Brecht (4) Antonio Gramsciの4人である。 平成22年度は、この4人のうち、特に(1)および(2)を重点的に取り上げ、CSやNew Leftがこの2人をどのように再評価したかを定期刊行物を中心にケンブリッジ大学図書館にて調査した。 Beveridgeはその有名な報告書により、英国の福祉社会制度の基盤を作った人物である。調査の結果、まだ十分な証拠資料がそろわない段階ではあるが、彼の思想の根底にモダニズムがあると想定できると考えている。 (2)のOrwenはCSやニューレフトにとって、もっとも重要な人物である。Raymond Williams, E.P.Thompson, Gwyn Thomas, Stuart Hall, Salman Rushdie, Edward Saidら、CSの中心人物たちは、みなOrwellについて論評を書いている。これらの論評を、時代順に細かく分析しながら、Orwenの評価のうちに見え隠れするモダニズム修正の動向を詳らかにできた。さらに、Orwellの流れを汲むドキュメンタリー手法について、特にGwyn Thomasと日本の石牟礼道子の文体を比較し、国際会議にてモダニズムが生み出したドキュメンタリーというformについて講演を行った。
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