2013 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
22520240
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
山田 雄三 大阪大学, 文学研究科, 准教授 (10273715)
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Project Period (FY) |
2010-04-01 – 2014-03-31
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Keywords | マテリアリズム / サッチャー主義 |
Research Abstract |
研究助成を受ける最終年度となった平成25年度は、サッチャー政権が誕生し、「サッチャー主義」と呼ばれる文化政策が社会に浸透するなか、ニューレフトはそれまで推進してきたモダニズム政治学の見直しをよぎなくされていく状況を、当時の文献に基づき実証した。さらに、この見直しの過程で、文化と政治と経済とを同時に視野に入れて、文化を考察する「文化唯物論批評」が登場してきたという仮説を提示した。 初期ニューレフトが始めたバーミンガム現代文化研究センターの活動は、ポストモダニズムの記号論へと、つまり脱モダニズム政治学へと傾斜していったのにたいして、ケンブリッジにいたRaymond WilliamsやTerry Eagletonなどの批評家たちは、記号論に偏りすぎた文化概念に飽き足らずにいた。彼らは、社会主義のことばがサッチャー主義により古語や廃語にされていくのに危機感を抱き、かつてのマルクス主義文化論とはまったく違うかたちで、唯物論(materialism)を文化の議論に割り込ませる方策を考える。その策のひとつが「文化唯物論批評(cultural materialism)」の構築であった。しかしこの動きは、実は1930年代のモダニズムへの先祖がえりという様相を呈していたように思われる。最終年度には、この仮説を裏付けるべく文献調査を実施し、1930年代にGeorge OrwellやJ. B. Priestleyが物質を重視した姿勢(materialism)を批判的に継承していることを示そうとした。
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Current Status of Research Progress |
Reason
25年度が最終年度であるため、記入しない。
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Strategy for Future Research Activity |
25年度が最終年度であるため、記入しない。
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