2014 Fiscal Year Annual Research Report
トマス・ハーディの短篇小説における近代性と語りの技法及び文体の研究
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22520248
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Research Institution | The University of Tokushima |
Principal Investigator |
宮崎 隆義 徳島大学, 大学院ソシオ・アーツ・アンド・サイエンス研究部, 教授 (80157627)
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Project Period (FY) |
2010-04-01 – 2015-03-31
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Keywords | 英米文学 / トマス・ハーディ / 短編小説 / 語りの技法 / 文体分析 / モダニズム / ポストモダニズム / イメジャリ |
Outline of Annual Research Achievements |
平成26年度は,最終年度ということを意識しつつ今後の研究の展開に向けて新たな方向性を見出すことを主眼とした。これまでの研究との整合性と継続性及び発展性について,成果としては論文の形で公表した。この研究計画に沿ったテーマを念頭に置きながら,新たな発展的テーマを盛り込んで分析と論考を行っている。 中心としているものは,本研究課題である語りの技法と文体の研究であり,それに加えて近代性とも関わってくるユーモア性について論考した。取り上げた短編は,ハーディの作品全般についてのほぼ固定的な評価と相容れなほどのユーモア性に満ちたものである。ユーモア性の分析については,言語表現の問題,語りの技法,そしてそれらを包括する文体というものが大きく関わっている。登場人物の使う言葉や表現が,お互いの思い込みや勘違いによって相互に齟齬をきたしているが,それは,語り手の位置と語り,そしてそれを受け止める読者が置かれた位置と理解力によって,そのユーモア性というものが生きてくるのである。 「惑える牧師」という作品は,いわゆる伝統的なイングリッシュ・ヒューモアが息づいている作品とみなすことができる。実は,ハーディの小説や短編小説の諸作品の原点ともいえる作品は,そうしたものを意識したあるいはハーディが本来的に持っていたものが反映された「緑樹の陰で」という作品であると考えてよい。この作品がシェイクスピアの喜劇「お気に召すまま」の中にある言葉をそのタイトルとしていることを考えれば,この作品の本質がうかがえる。 ハーディの作品は悲劇性に満ちたものが多いと思われるが,実はその悲劇性は喜劇性に裏打ちされて初めてその強さを増すといってよい。そのことを実証的に示すべく,今後の発展性を確立することを念頭に置きながら「惑える牧師」について,主に言語表現に着目して分析と論考を行った。
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Research Progress Status |
26年度が最終年度であるため、記入しない。
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Strategy for Future Research Activity |
26年度が最終年度であるため、記入しない。
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Research Products
(1 results)