2011 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
22520249
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Research Institution | Kochi University |
Principal Investigator |
上岡 克己 高知大学, 教育研究部・人文社会科学系, 教授 (10135973)
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Keywords | アメリカ文学 / 環境文学 / 自然保護運動 / レイチェル・カーソン / 環境保護運動 |
Research Abstract |
研究課題「アメリカ文学と自然・環境保護運動」の中で、22年度はレイチェル・カーソンと自然保護運動との関係を、主に初期の彼女の作品をとおして考察した。23年度においては、同じくレイチェル・カーソンを取り上げ、彼女の中期・後期の作品を取り上げ、彼女の自然観や環境思想の成長の跡を克明に辿った。特に日本ではまだほとんど言及されていない講演原稿にまで研究を進め、彼女の環境思想の先駆性を指摘することができた。彼女の原子力に対する懸念も、昨年の福島原発事故との関連で言及した。彼女が原子力時代に生きていたことを再認識するとともに、彼女が愛する海の環境汚染への警告は現代にも通じるところがある。 この研究の結果、カーソンと自然保護や環境保護との関係が明らかにできた。彼女の自然観や環境思想という概念はいくつかの段階を経ながら徐々に熟成されていったと捉えることができる。もちろん彼女は自然保護運動を引っ張って行く活動家ではなかったが、その持ち前の先見的な洞察に富む環境思想は、読者の心をつかんではなすことはない。彼女が天分としてもっていた自然科学者と詩人の二つの要素力融合して、新しい価値観や自然観・環境思想を作り上げたと言っても過言ではない。それはエコロジー思想を基盤とした、ネイチャーライティングの伝統を継承したもので、最終的には彼女の慕うシュバイツァーの「生命への畏敬の念」という哲学にたどり着く。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
カーソンの自然観・環境思想の発展をほぼたどることができた。
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Strategy for Future Research Activity |
24年度ではカーソンについての研究はひとまず終了し、自然保護運動の原点であるヘンリー・ソローについて考察する。
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Research Products
(1 results)