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2011 Fiscal Year Annual Research Report

男性ホモソーシャリティとジェンダー支配を近代から現代に辿るトマス・ハーディ研究

Research Project

Project/Area Number 22520256
Research InstitutionTokyo Metropolitan University

Principal Investigator

亀澤 美由紀  首都大学東京, 人文科学研究科, 准教授 (60279635)

Keywords英米文学
Research Abstract

平成22年度は『日陰者ジュード』を中心に、男性ホモソーシャル性とその他の社会システムとの関連性を探った。それを受けて平成23年度は『日陰者ジュード』の分析過程から浮かび上がってきた新たな視点を『森林地の人々』に適用し、これをより多層的な視点から分析することを目的とした。『森林地の人々』に関しては平成21年度の研究で、女性の身体が露骨に資本と結び付けられ、そのことが村全体の歴史を変えてしまう点にこの物語の特徴があることを指摘していた。本年度は女性の交換、ことばの交換、そして資本の交換という3つの交換体系が実は一つの同心円状にあるのではないかという仮説のもとに研究を進めた。具体的には、リアリズムと貨幣経済との関係を論じた書『言語の金使い』(J.J.グー)の理論を取り入れることによって、ハーディ文学の象徴交換のあり方をより大局から見ることに視点をおいた。結果、『森林地の人々』は象徴交換における交換財のもつ転覆的力が、経済変動に対する不安と重なって経験される様子を描いているとの結論に達した。今後はこれらの分析結果をまとめる作業に移る。今年度は、ハーディに関する研究論文を発表するまでには至らなかったが、文學と経済とのつながりを、女性の表象にあてはめた場合の考察を論文発表している(「アリスが地下に落ちる、金本位制が崩れる」)。直接ハーディに関連するものではないが、これから出す『森林地の人々』の研究成果に至る過程で、ことば・文学様式・貨幣・女性の身体について包括的に考える段階が必要であり、この論文はその副産物であったと考える。

Current Status of Research Progress
Current Status of Research Progress

2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.

Reason

当初は、『日陰者ジュード』の分析を終えたのちは初期の作品に戻って分析することを予定していた。しかし男性ホモソーシャリティだけに焦点をあてるのではなく、文学様式(ことばの交換)や貨幣システムといった他の象徴交換にも視野を広げたほうが、大いに実りあることがわかってきた。したがって、研究の方向性は修正することとなったが、当初の予定にはなかった成果を期待できるようになった。よって、自己評価は(2)とする。

Strategy for Future Research Activity

『森林地の人々』の研究結果をまとめる。同時に『日陰者ジュード』を再度、経済システムのなかに組み入れて分析することをすすめる。

  • Research Products

    (1 results)

All 2011

All Journal Article (1 results)

  • [Journal Article] アリスが地下に落ちる、金本位制が崩れる-1973年のふたつの出来事2011

    • Author(s)
      亀澤美由紀
    • Journal Title

      PHASES

      Volume: 2 Pages: 6-10

URL: 

Published: 2013-06-26  

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