2012 Fiscal Year Annual Research Report
移動/定住/家族ーー21世紀に向けてフォークナー文学を拓く
Project/Area Number |
22520257
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Research Institution | Nagoya City University |
Principal Investigator |
田中 敬子 名古屋市立大学, 人文社会系研究科, 教授 (70197440)
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Project Period (FY) |
2010-04-01 – 2013-03-31
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Keywords | アメリカ文学 / フォークナー / 移動 / 家族 / 定住 |
Research Abstract |
本研究は、W・フォークナーがアメリカ南部のある町を舞台とした壮大なサーガを創造しながら、定住している家系の年代記のみならず、放浪者、移動するマイノリティへと関心を広め、作家としてのキャリアの後期には定住と移動、さらに伝統的家族観の解体に至る物語を形成するようになったと考え、その意味を問うものである。 平成24年度はその研究の集大成として、フォークナーの後期の家族観と共同体、社会の関係を『尼僧への鎮魂歌』、「コンプソン家付録」に基づいて追及した。フォークナーが作家としての名声を得るに従って社会的責任を自覚するとともに、芸術家と国家、父権制共同体社会と個人の関係を追及し、女性たちの連帯に強い関心を寄せるようになった過程に注目している。女性、混血人種といったマイノリティ中心の、血縁によらない家族構成の可能性を後期フォークナーは探っていること、その際フォークナーは前期作品について再考し、後期に発展させたマイノリティへの視線から再解釈して新たな物語、より大きな視野を獲得していることを明らかにした。それまでの父権制社会に対するフォークナーの疑問は、後期にはさらに国民国家、全体主義的統制への批判となっている。国家権力の強制力に対抗するものとして作者は以前より自覚的に女性、特に黒人女性の力、人種を超えた女性たちの連帯を取り上げ、その可能性に期待する視点を打ち出している。この研究の成果は中部アメリカ文学会例会で口頭発表し、加筆修正して論文「後期フォークナーの記憶の形――『尼僧への鎮魂歌』(『人間文化研究科紀要』18号)として発表した。
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Current Status of Research Progress |
Reason
24年度が最終年度であるため、記入しない。
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Strategy for Future Research Activity |
24年度が最終年度であるため、記入しない。
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