2011 Fiscal Year Annual Research Report
カナダ・オーストラリア児童文学史の構築-比較研究の視点から-
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22520261
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Research Institution | Okayama Prefectural University |
Principal Investigator |
桂 宥子 岡山県立大学, 情報工学部, 教授 (10254583)
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Keywords | 児童文学 / カナダ / オーストラリア / 英語圏児童文学 / 絵本 |
Research Abstract |
本研究は1960年代以降の現代の作品に焦点を定めて、カナダ・オーストラリア児童文学の直近の歴史と現状、さらに将来への展望を明らかにし、これまでに蓄積した研究成果と合わせて、両国の児童文学を黎明期から現代にいたるまでの通史としてまとめることを目的としている。 1.現代カナダ・オーストラリア児童文学のデータベース作成。カナダ児童文学書評誌CCL(-2005)、Picturing Canada (2010)、Jeunesse(2009-)及びA History of Australian Children's Literature(1969)に取り上げられた作品の書誌情報と評価のデータベース化を行った。 2.研究協力者である姫路獨協大学の牟田おりゑ教授と比較文化研究の視点から加豪児童文学の比較研究を共同で行なった。牟田教授が発表した日本イギリス児童文学会研究大会をはじめとする「英語圏児童文学」に関するシンポジウムに参加し、現代の英米加豪の児童文学に関し知見を深めた。 3.国内調査。カナダ大使館、国際子ども図書館、大阪国際児童文学館などを利用して、現代の英語圏児童文学に関する調査・研究及び資料の収集を行った。研究成果の一部は「21世紀初頭のカナダ児童文学」(『岡山県立大学語学センター紀要』第10号,2012.3)にまとめ、「カナダ児童文学略年表:2000-2011」を付した。 4.海外の作家及び研究者の講演会に参加。現代カナダを代表する作家デボラ・エリス及び現代オーストラリアを代表する絵本画家ショーン・タンの講演会に参加し、現代の両国児童文学に関する知見を深めた。カナダの英文学者で文明批評家でもあるマーシャル・マクルーハンに関する講演会「グローバル・ヴィレッジを具象化して」(講師:ブリティッシュ・コロンビア大学リチャード・キャベル教授)に参加し、現代カナダ文学思潮の理解を深めた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本年度の研究目的は、作品数が増加し、ジャンルが複雑化する1960年代以降のカナダ・オーストラリア児童文学の集中的研究である。両国の現代児童文学作品の原書(入手可能なものはその邦訳)を収集し、リアリズム、ヤング・アダルト、ファンタジー、絵本のジャンルに分類し、研究した。その成果の一部は、拙稿「21世紀初頭のカナダ児童文学」にまとめた。
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Strategy for Future Research Activity |
1960年以降のカナダ・オーストラリア児童文学作品の収集をさらに進め、時代思潮及びジャンル別に研究を行い、両国児童文学の黄金時代の特質を分析する。その結果とこれまでに蓄積した研究成果とを合わせて、両国の児童文学を黎明期から現代にいたるまでの通史としてまとめ、『カナダ・オーストラリア児童文学史』の公刊を目指す。
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Research Products
(4 results)