2013 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
22520277
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Research Institution | Ritsumeikan University |
Principal Investigator |
ウェルズ 恵子 立命館大学, 文学部, 教授 (30206627)
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Project Period (FY) |
2010-04-01 – 2014-03-31
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Keywords | 黒人文化 / アフリカ系アメリカ人 / 口承文学 / 音楽文化 / Oral Traditiion / Folktale / African American Songs / Michael Jackson |
Research Abstract |
アメリカ黒人の文化は世界の大衆文化に大きな影響を与えてきた。アメリカ黒人文化は奴隷制から公民権運動に至る苦難の時代の影を色濃く残し、その経験に鍛えられて固有の発展をしてきており、それが魅力の源泉となっている。しかし一方で、どん欲に商業価値を求めて主流文化と積極的に融合、変化してきたことも事実であり、そのエネルギーと変革力もまた魅力のみなもととなっている。本研究は、奴隷制時代末期から公民権運動までの約100年間に採取された黒人の民話や歌を読み解き、現代日本にも少なからぬ影響を及ぼしているアメリカ黒人文化の特質を、ルーツから解き明かしたものである。具体的には、以下のようなことを詳しく調査分析し、著書として発表した。 1) 黒人文化のエッセンスをよく吸収しながら、メインストリーム文化に食い込んだマイケル・ジャクソンの業績を、歌詞を中心に分析することで、黒人文化の特質を浮き彫りにした。2) 黒人文化の最重要要素は、彼らがかつて文字の学習機会にめぐまれなかったため口頭文化を発展させたことであると指摘。その具体的内容を概観した。3)黒人の動物民話をとりあげ、それが暴力と笑いに満ち、弱者が強者をくじく物語である一方、いわゆる勧善懲悪の物語ではないことを詳細に分析した。4)主流社会の価値観を逆転させた価値観と行動様式を、黒人ヒーローの活躍譚に読み取った。5) 奴隷時代における生活上の喜びや、主人への暗黙の批判、逃亡を歌う屈折した歌を分析した。6) 南部の刑務所に20世紀半ばまで残ったハンマーソングの歌詞の変遷を読み解き、奴隷時代から現代にかけて、時代の変化とともに黒人の自我のあり方や世界観が変化したことを指摘した。7) 黒人霊歌からゴスペルへ歌詞の変遷を辿り、神や救いのイメージの変化を指摘。8) 病的な抑うつ心理からの脱出方法として、ブルーズの歌詞様式が発展したことを明らかにした。
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Current Status of Research Progress |
Reason
25年度が最終年度であるため、記入しない。
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Strategy for Future Research Activity |
25年度が最終年度であるため、記入しない。
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