2010 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
22520281
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Research Institution | Hiroshima Shudo University |
Principal Investigator |
吉川 史子 広島修道大学, 商学部, 教授 (50351979)
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Keywords | 中世英文学 / 神秘主義 / ジャンル / 談話ストラテジー / ポライトネス理論 |
Research Abstract |
中世イギリス神秘主義作品と他のジャンルの作品との関係をマッピングするという本研究の目的を達成するため、二種類の具体的な研究を行った。まず、The Book of Margery Kempeと、中英語期に書かれた聖地巡礼に関する二作品とを比較し、その類似点と相違点を明らかにした。その成果は、ペーチ大学で行われた16th International Conference on English Histolical Linguisticsで発表した(標題等については「研究発表」の項目参照)。 もう一つの研究、対象となる読者が女性に限られる作品と、そうではない作品とを比較研究することに関しては、Ancrene Wisseの談話ストラテジーの分析に着手し、その成果を7月12日に英国リーズ大学で行われたInternational Medieval Congress 2010において、"Discourse Strategies in Ancrene Wisse"の標題で発表した。本発表は、その談話ストラテジーを、女性隠修者であるJulian of Norwichによる作品Revelations of Divine Love(以後Revelations)のストラテジーと比較したものである。論理的な言い換え表現であるthat is(to say)をどちらの作品も多用するという共通点や、Ancrene Wisseには、修辞疑問等を多用するというRevelationsには見られない特徴があることが明らかになった。また、文体の違いを生じさせている原因を、Brown & Levinson(1987)のポライトネス理論に基づいて客観的に説明した。 さらに、2月11日にアリゾナ州テンピ市で行われた17th Annual ACMRS Conferenceにおいて、読者に対する説得的態度の現れに関して、The Book of Margery KempeとRevelationsとを比較した結果を、"Discourse strategies in Ancrene Wisse"の標題で発表した。
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