2011 Fiscal Year Annual Research Report
メタファーとメディアの相互性に関する研究―近現代ドイツ圏の場合
Project/Area Number |
22520290
|
Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
鈴木 純一 北海道大学, 大学院・メディア・コミュニケーション研究院, 教授 (30216395)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
佐藤 拓夫 北海道大学, 名誉教授 (20091457)
吉田 徹也 北海道大学, 名誉教授 (80003531)
高橋 吉文 北海道大学, 大学院・メディア・コミュニケーション研究院, 教授 (20091473)
山田 貞三 北海道大学, 大学院・文学研究科, 教授 (50128237)
西村 龍一 北海道大学, 大学院・メディア・コミュニケーション研究院, 准教授 (10241390)
|
Keywords | メタファー / メディア / テクスト論 / 批評理論 |
Research Abstract |
本年度は研究計画に従い、前年度までに得られた「メタファー」と「メディア」の構造的類似性及び概念的相関性に関する理論的仮説をもとに、文学・思想・社会・文化に関わるテクストを分析し、それ成果を再び理論的な仮説にフィードバックするという作業を繰り返し行った。前年度の成果において明らかになったように、メタファー研究史において、多くが「メタファー」の構造に意味の二重化を認めており、その二重化後の処理には「接続」と「切断」という(一見相反する)二つの方向性が含意されている。また、理論的な「メディア」解釈においても、多くの場合、上記の「接続」と「切断」を中心的な機能とみなしており「同一化」と「差異化」の二重性を内包していることが認められる。本年度は、このような構造的かつ機能的な類似性から「メタファーとメディア」両者を相互依存的な慨念としてより精緻に定式化していくことが課題となった。具体的には、主にローゼンツヴァイク、オットー、ユダヤ教等の宗教思想に関するテクスト、アレント、ハーバマス、フーコー等の社会思想に関するテクストが分析された。暫定的結論として、宗教的テクストにおいては、聖典と派生的なテクストの関連性を担保する(接続)と同時に不可侵性を表現する(切断)方法としてメタファーがメディア的機能を果たしていること、また社会思想のテクストにおいては、現実的な出来事の個別性の強調(接続)という機能が第一義に、またそれらを集約し再帰的な抽象化(接続)を進める機能が副次的に用いられているという知見が得られた。この妥当性に関しては、来年度も継続する具体的テクスト分析の作業の中で明らかにしていく。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当初の計画に従い、理論的な研究とそれに対する具体的なテクスト分析からのフィードバックが概ね順調に展開されており、またそれに応じた知見も得られている。まだ個別的な成果の段階であるが。このような形で研究が進展すれば、成果を集約し、理論面でも統一的な再構成が可能になると思われる。
|
Strategy for Future Research Activity |
具体的なテクスト分析において、思想的なテクストおよび宗教学的な解釈学の伝統分析など、研究が順調に進んでいる分野と、芸術作品・批評や現代文学等分析がやや手薄な分野とがあり、両者のバランスをとるように修正したい。これにより理論的な分野へのフィードバックに関しても、より妥当性のある知見が得られると考えられる。
|
Research Products
(1 results)