2011 Fiscal Year Annual Research Report
「在外ドイツ人研究」の制度化と禁忌化-マイノリティ論から見たゲルマニスティーク-
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22520293
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
藤田 恭子 東北大学, 大学院・国際文化研究科, 教授 (80241561)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
鈴木 道男 東北大学, 大学院・国際文化研究科, 教授 (20187769)
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Keywords | 在外ドイツ人 / マイノリティ / ゲルマニスティーク / ナショナリズム / ルーマニア / カール・クルト・クライン / リヒャルト・チャーキ / ハインツ・キンダーマン |
Research Abstract |
昨年3月中旬から月末にかけてルーマニアのシビウ、ブラショフ、クルージ・ナポカおよびウィーンの関係諸機関で調査と資料収集を行うべく、準備を重ねていたが、東日本大震災のため、出張を断念せざるをえなかった。しかし予算の繰越が認められ、予定していた調査を9月に実施した。 その成果を踏まえ、本年度の研究計画通り、ルーマニア側の情報・資料を補完・相対化すべく、ドイツおよびオーストリアで調査を行った。藤田はシュトゥットガルトの国際関係研究所(旧「在外ドイツ人研究所兼博物館」)ならびにビュルテンブルク州立図書館、およびミュンヘンのバイエルン州立図書館ならびに東方ドイツ人会館図書館で、在外ドイツ人研究所の所長として活躍したチャーキとグラーツ大学教授カインドルに関する情報と資料を収集した。とりわけ、在外ドイツ人研究所から刊行された雑誌「在外ドイツ人(Der Auslanddeutsche)」とその後継誌(1918-1944)を全巻入手したことで、「在外ドイツ人研究」がナチのイデオロギーに取り込まれている過程を分析するための重要な資料を得たことは意義がある。鈴木はK.K.クラインがクルージ・ナポカの旧クラウゼンブルク大学から移って活動したオーストリアのインスブルック大学独文科蓄よびウィーンのオーストリア国立図書館でクラインの活動1こついて資料を収集した。 キンダーマン等ドイツ・オーストリア出身者による「在外ドイツ人研究」の基礎資料についても、分析に着手した。 ルーマニアおよびドイツ・オーストリアで収集した資料と情報をそれぞれ整理し、「在外ドイツ人研究」の各成果について、実証性を中心に、学術的意義の検討を進めている。 次年度のために、追加調査の必要な点、そのための資料の有無や所在、入手の可否等を確認した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
2011年3月に予定していたルーマニアにおける現地調査を、東日本大震災のため9月まで延期せざるをえなかった。ルーマニア・アカデミーのシビウ支部、ルーマニア・プロテスタント教会中央文書館、ホンテルス教会文書および図書館、バベシュ・ボヤイ大学独文科等と連絡をとり、情報提供を仰いだが、計画実施の遅れをまだ完全に取り戻すことはできていない。
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Strategy for Future Research Activity |
上記の在ルーマニア諸機関に加え、シュトゥットガルトの国際関係研究所やミュンヘンの東方ドイツ人会館の研究者ともさらに連携を深め、情報を集めるとともに、意見交換を行い、より効率的に研究を進めたい。また、日本ドイツ学会の構成員との連携を模索中である。
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Research Products
(2 results)