2011 Fiscal Year Annual Research Report
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22520294
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Research Institution | Saitama University |
Principal Investigator |
澤田 和彦 埼玉大学, 教養学部, 教授 (70162542)
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Keywords | 日露関係史 / 日露交渉史 / 日露文化交流 / ゴンチャローフ / 二葉亭四迷 / ピウスツキ / 白系ロシア人 / マトヴェーエフ |
Research Abstract |
平成23年度は、主として以下の諸点に取り組んだ。 1.プチャーチン提督の秘書として1853年に長崎に来航した作家ゴンチャローフの『日本渡航記』にうかがわれる、ロシア人の観た幕末の日本及び日本人観 2.市川文吉、黒野義文、二葉亭四迷、川上俊彦等、東京外国語学校魯語科関係者のロシアとの関わり 3.明治期に来日したコレンコ、グレー、ケーベルといった東京外国語学校、東京帝国大学、東京音楽学校のロシア人教師や、B.ピウスツキ、N.K.ラッセル、B.D.オルジフのような亡命ロシア人、ポーランド人の日本における事跡と日本観 4.日本の環日本海地域、北海道と、極東ロシア、サハリンとの関わり 5.日露戦争 6.1917年のロシア革命後に来日した白系ロシア人の事跡調査 極東連邦大学(ウラジオストク)で開かれた国際会議で第6点について報告し、当地とハバロフスクで資料収集を行なった。また国際交流基金の招きでポーランドから来日したA.マイェヴィチ氏を埼玉大学で10ヶ月受け入れて研究交流を行ない、日本全国から研究者を招いて第3点のピウスツキに関する学術セミナーを開催した。さらに長崎県立図書館、長崎歴史文化博物館、長崎の外国人墓地、早稲田大学図書館、国立国会図書館で上記全6点に関する調査と資料収集を行った。 第3点について論文をロシアで2本、第6点についてロシアと中国で1本ずつと国内で1本、第3、4点と第5点について国内で1本ずつ発表した。日本人・ロシア人研究者と二ヶ月に一度「来日ロシア人研究会」を開いて情報交換を行い、第6点について報告した。またロシア、ポーランド、チェコ、アメリカ、カナダの研究者とも連絡を取り合って、情報交換をした。 謝金を用いて外務省外交史料館所蔵の来日ロシア人に関する史料のデータベース作成のための作業を進めた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
交付申請書の「研究の目的」欄には平成23年度の具体的な研究実施計画として計8点を挙げたが、「研究実績の概要」で述べたように、そのうち6点について論文を発表、学会で報告、もしくは調査、資料収集を行なって、研究を進展させることができた。他方、残り2点については進展があまり見られず、これらについては次年度に取り組みたい。
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Strategy for Future Research Activity |
平成24年度の交付申請書の「研究の目的」欄に挙げた研究実施計画に基づいて研究を進めるとともに、平成25年度には、それまでの4年間の研究成果のみならず、これまで約30年間に書きためた論文のうち本研究課題に関わるものに大幅な増補改訂の手を入れてまとめたいと考えている。従って、平成24年度はその点も念頭に置いた上で資料の収集、旧論文の増補改訂、新たな論文の執筆、学会での発表に取り組む。 問題点としては、外国で資料を収集すべき個所が、ロシア、ポーランド、チェコ、アメリカ、オーストラリア(それぞれ複数の施設)など多岐にわたるが、旅費に充てられる額が限られており、すべての国の全施設を訪問できないことだ。そのため、一回の外国旅行で少なくとも二個所を訪れる予定である。
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Research Products
(9 results)