2010 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
22520298
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
逸身 喜一郎 東京大学, 大学院・人文社会系研究科, 名誉教授 (40107420)
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Keywords | 西洋古典 / ギリシャ悲劇 / 韻律 |
Research Abstract |
本研究の最終目的は、ギリシャ悲劇の歌の部分(コロスが歌うスタシモン,俳優の歌うコンモスといわれる部分、などを含むすべて)を三大悲劇詩人の全作品から収集し、それらの韻律を個別に分析して叙述したのち、歌全体を韻律的に分類することを試みることである。つまり韻律をもとにした、悲劇の歌の類型学(タイポロジー)である。その最大の特徴は、歌を構成する個々の行の韻律分析にとどまらず、歌を全体として把握して、どの歌とどの歌とが似通っており違いがあるとすればいかに違うのかを叙述することにある。 研究方法は、おおむね次の順序で進行する。 1 歌の収集。歌い手による分類。 2 それぞれの歌の行毎の韻律分析。 3 同一韻律の行の収集。傾向の把握。 4 歌毎の特色を示す基準の摘出。 5 歌の類型の把握。 今年度はまず全容を概括し(上記1)、その中からグループ分けが比較的容易であると思えた、dochmiacsを中心とする歌に的を絞って分析を開始した(上記2ならび3)。当初は俳優が歌う歌に対象を絞りたかったけれども、その分類方法はいまだうまく見つからず、分類をきれいに成立させられないので、まずはコロスだけが歌う総計42の歌から始めている。これらは従来、スタシモンと呼ばれることが多いが、はたしてそれが妥当かどうかあらためて考えることになる(とりあえずそのままにしてある)。 英国オックスフォード大学において、日本では読むことが不可能な古い刊本を閲覧するとともに、研究者と議論を重ねた。とりわけDr.Laetitia Parkerとの議論は今後の研究の展開に有益であった。
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Research Products
(1 results)