2012 Fiscal Year Annual Research Report
メランコリーと幼年時代──フランス近代文学の根源を求めて
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22520299
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
塚本 昌則 東京大学, 人文社会系研究科, 教授 (90242081)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
畑 浩一郎 聖心女子大学, 文学部, 講師 (20514574)
月村 辰雄 東京大学, 人文社会系研究科, 教授 (50143342)
中地 義和 東京大学, 人文社会系研究科, 教授 (50188942)
本田 貴久 中央大学, 経済学部, 准教授 (50610292)
野崎 歓 東京大学, 人文社会系研究科, 教授 (60218310)
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Project Period (FY) |
2010-04-01 – 2013-03-31
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Keywords | メランコリー / 幼年時代 / フランス語圏カリブ海文学 / 精神分析 / 写真 / 国際研究者交流 / フランス |
Research Abstract |
本研究は、「メランコリー」と「幼年時代」という主題の分析を通して、フランス近代文学を、従来の「絶え間ない再開の美学」とは異なった視点から把握することを目指すものである。本年度は、三年間にわたる研究の総括をおこないながら、新たな研究の可能性を探った。 1.シャモワゾーの小説研究を通して、「幼年時代」がフランス語圏カリブ海文学においてもつ意味を検討した。旧宗主国への反逆に終わらず、新たな価値創造を模索するシャモワゾーの小説の主人公たちは、「反逆者」ではなく「戦士」と呼ばれている。この「戦士」のあり方を考察する上で「幼年時代」は決定的な重要性を持っている。今年度は、シャモワゾー本人が来日し、詳しく話を聞くことができた。またカッサーブ=シャルフィの研究書の翻訳などを通して、知見を深めることができた。 2.「フロイトの時代──文学・人文科学・無意識」(2011年11月5日開催)の成果の一部を『思想』に発表した。その際、精神分析の専門家・立木康介氏(京都大学)を中心に、鈴木雅雄氏(早稲田大学)、多賀茂氏(京都大学)と研究責任者が座談会を行い、近代文学と精神分析との関係について討議、「幼年時代」と「メランコリー」が文学においてもつ意味を、精神分析との関わりにおいて考察した。 3.「20世紀フランス文学と写真」(2010年11月16日開催)についても、現在成果をまとめつつある。その過程で、問題をより広く文学とイメージとの関係の問題と捉え直し、20世紀作家のイメージ論を検討を開始した。サルトルのイメージ論に関する研究会に参加するなどして、新たな研究を模索している。 今回の研究では、近代文学に底流する物語の力強さ、作品の造形力の根源を探るために「メランコリー」と「幼年時代」が有効な視点であること、同時に、文学とメージ、精神分析、歴史との関係をさらに掘りさげる必要があることが明らかになった。
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Current Status of Research Progress |
Reason
24年度が最終年度であるため、記入しない。
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Strategy for Future Research Activity |
24年度が最終年度であるため、記入しない。
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Research Products
(35 results)