2011 Fiscal Year Annual Research Report
サルトルの初期批評文芸作品の生成コンテクストに関する研究
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22520305
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Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
重見 晋也 名古屋大学, 文学研究科, 准教授 (40303573)
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Keywords | ドイツ占領下フランス文学 / サルトル / アクシオン・フランセーズ |
Research Abstract |
平成23年度の研究活動においては柱として,1)BnFにおける現地調査の継続,2)生成・出版コンテクストの再構築,3)サルトルおよび極右系作家のテクストの精読による比較分析の3点を掲げた. 特に1)にあげた現地調査の継続を本年度の活動の中心と位置づけ,平成22年度に実施した《incidences》叢書とその出版社Point du Jour社を対象とした調査に引き続いて,『ボードレール』が最初に断片的に掲載された雑誌『コンフリュアンス』Confluenceについて,2011年12月にフランス国立図書館にて10日間にわたる調査を行った.この調査から次のことが分かった:1)同誌がヴィシー政権下のリヨンにおいてドイツ軍の検閲をかいくぐって創刊されたこと,2)ドイツ占領下のフランスにあって戦前のN.R.F誌に匹敵する質をもつと高く評価されていたこと,3)アラゴンのように偽名を用いて作品を発表する詩人もいたが,そのため何度か発行停止処分を受けていること,などである. 以上の,調査の結果を,2011年7月に開催された広島大学フランス文学研究会で口頭発表するとともに,『広島大学フランス文学研究』誌第50号に発表した.加えて2012年3月刊行の『HERSETEC』においては,ドイツ占領下のフランス文芸誌の問題点などを論文にまとめて発表した. 研究活動の2)については,調査によって得られたConfluence誌全号の書誌情報を大学院生の助けを得て正規化し,データベース化する準備を行っているところであり,このデータベース化の作業を生成・出版コンテクストの再構築への重要なステップと位置づけている.また,3)のテクストの精読についても,これまでの調査で得た資料の比較精読を継続的に行っており,その分析結果の一部は前述した研究論文に結実している.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
年度当初に掲げた3つの研究目標にしたがって研究を推進しており,現地調査についてもほぼ予定通り行うことができた。研究成果も当初の計画通り発表できており,全体として研究計画はおおむね順調に進展していると考えることができる.
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Strategy for Future Research Activity |
研究はおおむね順調であり,当初の計画を着実に推進することが重要であると考える.一方で研究の進展に伴い,フランス国立図書館での現地調査の必要性が増していることも事実であるが,交付される補助金の費目配分を按配するとともに,物品費などの一部を自己負担するなどして研究を進める予定である.
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Research Products
(3 results)