2012 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
22520307
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
高橋 宏幸 京都大学, 文学研究科, 教授 (30188049)
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Project Period (FY) |
2010-04-01 – 2013-03-31
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Keywords | 西洋古典 / ラテン文学 |
Research Abstract |
本研究は共和政末期からアウグストゥス帝治世にかけて現われてくる「ローマ人」像について、ラテン文学作品を中心とする関連文献を検討し、(1)その諸相を析出すること、(2)形成過程を観察すること、(3)支柱をなす理念を把握すること、(4)各作家が「ローマ人」を提示する表現手法を明らかにすることを目的とする。そのために、(1)カエサル『ガリア戦記』からウェルギリウス『アエネーイス』へという方向性、(2)ローマ共和政末期の歴史意識の高まりの中で生まれてきた「永遠のローマ」の理念、という二つを重要な着眼点として掲げた。 本年度の成果の第一は、ウェルギリウス『アエネーイス』における「葬礼」のモチーフについて検討し、それが作品の主題である「ローマ建国」、そして、「永遠のローマ」の理念とも関係しながら、詩全編に重要な意義を担っていることを観察したうえで、このモチーフは作品理解の鍵である結末場面において曖昧な形で言及されるが、その曖昧性そのものがー主要人物の死による唐突な結末をもって表現される冷徹な死の絶対性との対比においてー「ローマ建国」に苦難をもたらす未来の不確定性を暗示しているという解釈を提起した。この考察は研究集会での口頭発表([学会発表]の項参照)を経て、近く雑誌論文に発表される。第二に、カエサル『ガリア戦記』新訳作業を近く公刊できるところまで完了する一方、同『内乱記』後の出来事を記す未邦訳の作品、作者不詳『アレクサンドリア戦記』と『アフリカ戦記』の試訳作業について前者は最後まで、後者は半ばまで終了できた。
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Current Status of Research Progress |
Reason
24年度が最終年度であるため、記入しない。
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Strategy for Future Research Activity |
24年度が最終年度であるため、記入しない。
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