2011 Fiscal Year Annual Research Report
十八世紀ドイツ文芸における社交性と非ヨーロッパ世界
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22520331
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Research Institution | Hosei University |
Principal Investigator |
笠原 賢介 法政大学, 文学部, 教授 (10152620)
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Keywords | 比較文学 / 独文学 / 思想史 / 文化交流 / レッシング / ヘルダー / 森鴎外 / 和辻哲郎 |
Research Abstract |
前年度末におこなったベルリン国立図書館での文献調査に基づいて、レッシングの非ヨーロッパ世界把握を精査し、初期の『カルダーヌス弁護』から『アダム・ノイザー』を経て晩年の『賢者ナータン』に至るまでのレッシングの作品化の過程を分析した。その際に、『歴史批評辞典』をはじめとするピエール・ベールの諸著作、ゴットシェートによる『歴史批評辞典』の独訳、フリードリヒ大王とダルジャンスによる『歴史批評辞典』の抜粋版、ベールが引用している近世および同時代の諸文献を視野に入れ、背景を掘り下げた。その成果の一端は、日本18世紀学会・「学会ニュース」第68号、「グラーツの国際18世紀学会、ドイツ語訳『歴史批評辞典』のことなど」に示した。 ヘルダー『人類歴史哲学考』に関しては、前年度までの分析に、前年度末におこなったベルリン国立図書館での文献調査の成果を加え、『人類歴史哲学考』全体の構造の検討、および非ヨーロッパ世界把握におけるレッシングとの連続性と差異を明らかにする作業をおこなった。 上記の作業と並行して、日本18世紀学会、18世紀ドイツ文学研究会、18世紀文芸表象研究会に定期的に参加し、関連分野の研究者との討議をおこない、研究作業の検討の機会を持った。また、7月末にオーストリアのグラーツで開かれた国際18世紀学会第13回大会に参加し、現在の18世紀研究の動向のなかに研究作業を位置付け、討議する機会を持った。 2月末から3月初めにかけて、ベルリン国立図書館での文献調査をおこない、年度を通しての研究作業の文献上の検証ならびに文献の発掘をおこなった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
前年度末におけるベルリン国立図書館での文献調査、7月における国際18世紀学会大会への参加、年度を通しての関連学会・研究会での討議、2~3月におけるベルリン国立図書館での文献調査の成果をテクストの精読・分析と組み合わせ、論文化の作業を順調に進めている。
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Strategy for Future Research Activity |
レッシング、ヘルダー、クニッゲに関しては、18世紀の同時代資料の分析とテクストの精読を循環させつつ研究を遂行する。森鴎外と和辻哲郎に関しても、テクストの精読と関連資料の発掘とを並行しておこなう。
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