2012 Fiscal Year Annual Research Report
死後出版小説の問題点と編集の正当性―プルーストの場合
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22520333
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Research Institution | Waseda University |
Principal Investigator |
徳田 陽彦 早稲田大学, 政治経済学術院, 教授 (40126602)
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Project Period (FY) |
2010-10-20 – 2013-03-31
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Keywords | プルースト / 物語構造 / アルベルチーヌ / 忘却 / 無意思的記憶 / 死後出版小説 / ルネッサンス絵画 / 書簡と作品との関係 |
Research Abstract |
24年度の半年間は、早稲田大学とパリ大学交換研究員としてパリに滞在して研究を遂行していた時期と重なる。23年度末(24年3月)にパリ第3大学で"L'oubli dans l'oeuvre de Paroust et sa vie"と題して2時間にわたって講演をおこなった。その際、質疑応答時間が1時間あり、会場からさまざまな質問・意見がでた。『失われた時を求めて』の第六巻で繰り広げられる「忘却」の諸段階の分析と、とりわけ筆者の仮説であるヴェネチア滞在における最終段階での「忘却」テーマの4つクライテリアのうちのla mort du moiとプルーストが「忘却」のテーマを発見した証左として筆者があげた1914年10月のアーン宛書簡にかんすることであった。前者の問題:たしかにla mort du moiはいくつも文脈でみられる概念であるが、こと「忘却」にかんしては14年5月のアゴスティネリの死後導入され、19年出版の『花咲く乙女のかげに』の『忘却』のテーマを展開する文脈なかで理論概念として開陳された。後者の問題:アゴスティネリの死後、公刊されているあらゆるプルーストの書簡を調査したが、14年10月のアーン宛で鮮明に「忘却」のテーマ発見を示唆している。それはもちろん既存の物語に「アルベルチーヌ」を創造・導入したことと軌を一にしている。 筆者の「忘却」にかする発表は、間接的にN.モーリアックの仮説に反論する論拠であるから、それを支持する研究者からは「立場が違う」と質問等はでなかった。 筆者はこの講演会形式の発表を変え、24年12月発行の早稲田大学政治経済学部の「教養諸学研究」第132・33合併号に"L'oubli dans l'oeuvre de Paroust et sa vie"と題して発表した。 死後出版小説は数多くの課題をふくんでいる。これからも取組んでいくつもりである。
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Current Status of Research Progress |
Reason
24年度が最終年度であるため、記入しない。
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Strategy for Future Research Activity |
24年度が最終年度であるため、記入しない。
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