2011 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
22520346
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Research Institution | Utsunomiya University |
Principal Investigator |
丁 貴連 宇都宮大学, 国際学部, 教授 (80312859)
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Keywords | 有島武郎 / 韓国近代文学 / 国木田独歩 / 媒介者 |
Research Abstract |
本研究は、ホイットマンやイプセン、トルストイ、クロポトキン、ベルグソンなど西洋文学をモデルに日本の近代リアリズム文学の中の最高峰の一つと言われる作品を生み出した有島武郎が、韓国近代文学の成立に深くかかわっていた事実を明らかにすることによって日本近代文学の「媒介者」としての姿を浮き彫りにすることを目的としている。研究二年目の本年度においては、初年度に行った基礎研究の成果をまとめると同時にその過程で浮き彫りにされた問題点を解決するため新たに資料収集とその解読を行った。本年度に行った具体的な内容とその意義は以下のとおりである。 1.具体的な内容 まず、初年度に行った基礎研究の一部をまとめ発表した。その主な内容は、韓国近代文学に及ぼした日本近代文学の影響が国木田独歩から有島武郎へ受け継がれていった事実を明らかにした。 次に、論文を執筆する過程において浮き彫りにされた問題点を解決するため韓国釜山大学と高麗大学、ソウル大学、国立中央図書館にて資料収集を行い、韓国における有島武郎研究者と意見交換を行った。また、有島武郎の札幌時代の資料収集とフィールドワークを行った。 3番目に、収集した資料を、先行研究に照らしあいながら解読及び分析を行った。この作業によってこれまで不明とされていた事実を明らかにすることができた 2.意義 以上、昨年度に引き続き、本年度も資料収集及び閲覧、フィールドワーク、研究者との意見交換、そして資料解読及び作品分析を行い、その作業を通じて有島武郎は、国木田独歩と同じく、いやそれ以上に韓国近代文学の成立に深くかかわっていたという事実を明らかにすることができた。その成剰まこれから学会発表などを通じて順次発表していく予定である。また、このような研究の機会を与えてくださった科学研究費助成金に感謝いたします。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
資料解読と分析に時間がかかりすぎた。また、資料分析と論文を執筆を行う過程で新たな疑問点が生じ、それを解決するため新たに資料収集とフィールドワークを行った。その結果、執筆に間に合わず、本年度は研究論文を一本しか発表できなかった。現在、残りの研究成果を準備している最中である。これらは順次発表していく予定である。
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Strategy for Future Research Activity |
次年度は、初年度と本年度に行った基礎研究を形にしていく。執筆中の研究論文を含め、次年度は3本の論文を、査読付きの学会誌に2本、紀要に1本発表する予定である。
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Research Products
(1 results)