2010 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
22520349
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
大木 康 東京大学, 東洋文化研究所, 教授 (70185213)
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Keywords | 明清 / 王朝交替 / 杜甫 / 詩学 / 冒襄 |
Research Abstract |
初年次においては、基本的に文献調査に専念し、資料の収集を行うことにする。 清初の杜詩学に関わる資料には、銭謙益の『銭注杜詩』などのような詩注、金聖歎の『杜詩解』のような批評、あるいは各種詩選など、書物としての形をなしたもののほかに、当時の人びとの著作の中にあらわれる個別の文章をも収集し、分析を加える必要がある。そのためには、文集を中心に、広く明末清初期の文献を調査する必要がある。 以上が平成22年度の研究実施計画であった。個別の人びとの著作の中にあらわれる文章をも含む明末清初期の文献の調査については、台湾の中央大学、中央研究院などにおける調査を通して、すでに全体で4万4千文字を越える関係資料を収集した。中国語の資料であるが、原稿用紙に換算して110枚を優に越える分量である。これらを分析することが今後の課題となる。また、明清期における杜甫に関する研究資料も入手し、それは基礎的資料となる。 また、そもそもこの研究を思い立ったそもそものはじめである明末清初の文人冒襄における杜甫については、『東洋文化研究所紀要』158冊に、「冒襄における杜甫」を発表した。この論文では、冒襄の各種の著作にあらわれる杜甫の詩について拾い上げ、それらを検討したものであるが、冒襄自身の詩文、またその友人たちの詩文において盛んに杜甫の詩が取り上げられ、杜甫の詩に和韻した作なども作られていたことを明らかにした。本研究における成果公刊のはじめであるが、これによって、明末清初の文人たちが、いかに杜甫を重視していたかを垣間見ることができた次第である。
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Research Products
(4 results)