2011 Fiscal Year Annual Research Report
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22520349
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
大木 康 東京大学, 東洋文化研究所, 教授 (70185213)
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Keywords | 明清 / 王朝交替 / 杜甫 / 詩学 / 冒襄 |
Research Abstract |
清初期における杜詩の全貌をうかがうことが本研究の目標であるが、資料としては、注釈、批評、詩選など、書物としての形をなしたもののほかに、当時の人びとの著作の中にあらわれる個別の文章をも収集し、分析を加える必要がある。 初年度において、書物の形以外のもので、すでに全体で4万4千文字(中国語)を越える関係資料を収集している。本年度も、さらに文献調査を行って、これら補充をしていくとともに、収集した資料を整理・分析することが今年度以後の課題である。書物の収集は継続して行いたい。 以上が、平成23年度当初の研究実施計画であった。本年は、夏にハーバード燕京図書館に赴き、同館所蔵の『明正徳鮑松刻李杜全集本杜工部集』ほか、日本では見ることのできない杜甫の詩集を閲覧し、明清期の杜甫詩の伝播と受容に関する貴重な資料を収集した。 また、国内においても、北海道大学図書館において関連資料の収集にあたり、また新資料を購入するなど、昨年に加えて、新たに多くの資料を蓄積、それらの分析を行った。 発表した論文「彭剣南の戯曲『影梅庵』『香?楼』とその時代」、においては、明末清初の冒襄の回憶録『影梅庵憶語』にもとづく彭剣南の戯曲『影梅庵』を主たる題材として、明清の王朝交替時期の物語が、清代後期、嘉慶、道光年間(18世紀)に至って、しきりに思い起こされるようになった時代状況を明らかにした。こうした問題も、杜詩受容の背景をなしている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
研究の最初の段階は、なんといっても資料の収集である。それについては、2年間の作業を通じて、相当に豊富な資料が蓄積され、収集と同時に初歩的な分析も実行している。 引き続いてこれら資料の整序が必要であるが、それは最後の一年間の時間で十分に完成可能と考えられる。
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Strategy for Future Research Activity |
上記のごとく、研究はおおむね順調に進展しているので、最終年度のまとめに向かって、このペースで作業を進めていけばよいであろうと考える。 成果は資料集成の形で世に問いたいと考えている。
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Research Products
(6 results)