2013 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
22520351
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
高橋 孝信 東京大学, 人文社会系研究科, 教授 (10236292)
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Project Period (FY) |
2010-04-01 – 2014-03-31
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Keywords | インド文学 / タミル文学 / サンガム文学 / インド古代 / 古代社会 / 翻訳 |
Research Abstract |
筆者のライフワークは,サンガム文学と通称されるタミル古代文学(中心部分は後1~3世紀)の総合的理解,殊に古代の社会や文化の理解である。そのため,平成22年から25年の4年にわたる本研究では,当時の社会の様子が最も具体的に記されている,サンガム文学の二大詞華集のうちのひとつ『十の長詩(PattuppaaTTu)』の読解作業を中心的な目標とし, あわせて『十の長詩』が著された理由,サンガム文学の諸作品の比較年代,作者性の真偽,そもそも作者(詩人)とはどのような人々で,活躍の場はどこかなどを研究することであった。 すでに,各年の研究報告で記したように,本研究は当初予想していた以上の進捗があり,3年目にはほぼ全体の読解作業が終了した。それにより,以下のようなことが明らかになった。1)『十の長詩』は,これまで言われていたような「詩人のための案内記」ではなく,旅に出られない宮廷人や一般聴衆のための,今で言う「旅行ガイドブック」のようなものであった。2)したがって,詩人たちの活躍の場は宮廷のみならず村の共同広場などでもあった(作品に実際に言及されている)。3)作品の作り方であるが,従来の研究結果とは異なり,部分的には即興もあったものの,大部分はあらかじめ考え作られていたものであることが,かなりの確度をもって推測される。 上述した次第で,本研究が当初の予定より進捗したため,最終年である4年目には,『十の長詩』から得られた見解を論考にまとめ始め,また,訳注つきの本格的な翻訳(これについては英訳か和訳かずいぶん迷ったものの,和訳とすることにした)も開始した。さらに,『十の長詩』を含めたサンガム文学の諸作品の年代については,「世代」という概念を新たに取り入れて再考し,おおよその結論を得た。
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Current Status of Research Progress |
Reason
25年度が最終年度であるため、記入しない。
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Strategy for Future Research Activity |
25年度が最終年度であるため、記入しない。
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