2012 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
22520355
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Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
吉村 正和 名古屋大学, その他の研究科, 名誉教授 (10033408)
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Project Period (FY) |
2010-04-01 – 2013-03-31
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Keywords | 錬金術 / モダニズム芸術 / 神智学 / 解釈学 |
Research Abstract |
本研究「モダニズム芸術における解釈学的戦略と救済の論理」の目的は、モダニズム芸術における解釈学的戦略には宗教的救済の論理が支配していることを検証することにある。解釈学的戦略とは、言語自体の内在的な論理を志向するものであり、言語の原初的意味とその神学的役割を明らかにするという意味において宗教的戦略である。この戦略はモダニズム芸術にも適用されているのではないかという問題提起をしたうえで研究を進めており、平成24年度においては、カバラー・錬金術・神智学に並んで西洋エソテリシズムの基盤を形成する「魔術」に焦点を当てて、モダニズム芸術との関連性について検証を行った。ルネサンスが近代魔術の種と苗が準備された期間であったとすれば、19世紀後半から20世紀初頭にかけての時代はその果実を摘み取った時期である。産業革命を世界に先駆けて進めたイギリスが大英帝国を確立したこの時代には、物質的な文明(世俗化)の波が高まるのと並行してキリスト教の退潮が顕著となり、SRIA、ヘルメス協会、神智学協会などの代替宗教的なアソシエーションが次々に登場してくる。最終的に1888年に黄金の夜明け教団という「近代魔術」を象徴する結社が設立される。本年度においては、黄金の夜明け教団の誕生から終焉までの歴史的経緯とその思想的な骨格を分析し、その視点を踏まえたうえで、マルセル・デュシャン、パウル・クレーなどモダニズム芸術に並行して登場する魔術的要素についても検証した。この検証結果を基にして平成24年度における研究成果を、『図説近代魔術』(単著、河出書房新社)にまとめた(現段階において初校終了。平成25年10月までに出版予定)。平成24年10月1日~10日にはロンドンに滞在して、大英図書館、ロンドン大学の中央図書館、ウォーバーグ研究所図書館、ウェルカム図書館などを中心に、近代魔術とモダニズム芸術関係の資料調査を行った。
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Current Status of Research Progress |
Reason
24年度が最終年度であるため、記入しない。
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Strategy for Future Research Activity |
24年度が最終年度であるため、記入しない。
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