2010 Fiscal Year Annual Research Report
ハーンとアルトーを巡る比較文学研究-ハーンの文学的遺産はいかに継承されたか
Project/Area Number |
22520356
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Research Institution | Nagoya Institute of Technology |
Principal Investigator |
大貫 徹 名古屋工業大学, 工学研究科, 教授 (30203871)
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Keywords | ラフカディオ・ハーン / アントナン・アルトー / 比較文学 / 異界との接触 / 外部との遭遇 / 耳なし芳一 |
Research Abstract |
従来のハーン研究では十分に展開できていなかった「20世紀におけるハーンの文学的遺産の継承」という観点を深めるため、本年度は、ラフカディオ・ハーンの代表作である『耳なし芳一』(The Story of Mimi-Nashi-Hoichi)(『怪談』【Kwaidan】<1904年>所収)を取り上げ、それと(マルク・ロジェ氏による仏訳を土台に)フランス人作家アントナン・アルトーが自由に翻案した作品『哀れな楽師の驚異の冒険』(L'Etonnante Aventure du Pauvre Musicien)<1922年前後に執筆と推定されている>との詳細な比較検討を行った。これは、アルトーが、ハーン文学の精髄である「異界との接触」というテーマをどのように継承し、それをアルトーの文学世界の中にどのように組み込み、発展させていったのかを実証的に明らかにするためである。具体的には、まず、アルトーが参照したと思われるハーン作『耳なし芳一』の仏語訳(1910年刊行の「マルク・ロジェ氏による仏訳・メルキュール・ド・フランス社」と推測されている)を入手し、その詳細の比較検討を行った。その上で、アルトーがどのように改変していったかを詳しく跡づけることができた。この結果、ハーンとアルトーの資質の違いも然ることながら、アルトーがこの翻案を経てどのようにその後のアルトー世界を構築していったかへの見通しもある程度つけることが可能となった。この成果は、近く刊行される予定の『「外部」と遭遇する作家たち』(新曜社)の第二章「『耳なし芳一』の物語を巡って-ハーン、アルトー、ゴッホ」の記述に結実した。
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Research Products
(2 results)