2010 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
22520357
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
平田 由美 大阪大学, 文学研究科, 教授 (60153326)
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Keywords | 移動文学 / ジェンダー / 引揚げ/復員 / コロニアリズムと言語 / ポストコロニアル文学 |
Research Abstract |
研究初年度である本年度に実施した研究の内容と成果については以下の通りである。 1. 2010年6月:海外研究協力者(B・ド・バリー、朴裕河)および国内研究協力者(西川祐子、伊豫谷登士翁、坪井秀人、美馬達哉)とともに、戦時中の強制連行と戦後の引揚げ・復員に関する現地調査を行い(舞鶴引揚記念館、大江山ニッケル鉱山跡地ほか)、第1回目の研究会を行った。研究の前提である"移動"研究のパラダイムへの時空軸の挿入についての議論を行い、文学・歴史研究および社会科学研究としての方法論的な接点と位置づけについて、共同研究としての方向性を設定した。 2. 2010年12月:韓国曝園アジア文化研究所と建国大学アジア・ディアスポラ研究所の共催によるシンポジウム<<植民地とディアスポラ>>で招待講演を行った。ロシア沿海州における「高麗人」、占領下上海における朝鮮人移住者、戦時下の朝鮮人強制戦争動員と戦後の送還などパネル報告者との討議を通して、本研究における"移動"研究の脱中心化の重要性が評価された。 3. 2011年1月:台湾国立交通大学社会與文化研究所主催のシンポジウム越境移動與漂流的記憶>>に参加し、国内研究協力者とともに研究発表を行い、併せて日式住宅など植民地遺跡や移民労働者の集住地区における支援団体事務所を対象とした現地調査を行った。日本の植民地支配下の朝鮮半島と台湾との比較、および台湾の過去と現代との比較を通して、研究パラダイムにおける空間的差異と時間的差異の分節と綜合の重要性と困難さを確認することができた。 4. 2011年2月1本年度の最後の研究会を開いて、研究の総括と取りまとめおよび来年度の研究計画について打ち合せを行った。
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