2010 Fiscal Year Annual Research Report
宋代における蘇軾・黄庭堅集の整理・編纂と注釈に関する総合的研究
Project/Area Number |
22520358
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
浅見 洋二 大阪大学, 文学研究科, 教授 (70184158)
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Keywords | 宋 / 文集 / 別集 / 注釈 / 蘇軾 / 黄庭堅 |
Research Abstract |
本年度は、四年間の研究期間の初年度に当たるため、全体の基礎となる研究に重点を置いて研究を進めた。 先ずは、宋代に編纂された蘇試・黄庭堅集の編纂状況を整理する作業に着手し、その一環として、早稲田大学・お茶の水女子大学などで宋代の別集をはじめとする関連資料の調査を行った。 上記作業と並行して、主に(1)宋代の文集に附された注釈に関する研究、(2)文集の整理・編纂における真蹟・石刻資料の活用に関する研究とを行った。 (1)に関しては、黄庭堅の詩集に附された任淵の注釈を中心に取りあげ、特に韓愈集の注釈と比較するかたちで、その全体像と文学詩的特質に関する検討を行い、黄庭堅の詩集の編纂過程における注釈の果たした役割を明らかにした。特に、『山谷年譜』を黄庭堅詩集の注釈史のなかに位置づけたこと、またそれが果たした役割を明らかにしたことは、本研究の重要な成果となった。その成果は、『中山大学学報』に中国語論文「黄庭堅詩注的形成与黄氏「山谷年譜」-以真蹟及石刻的利用為中心」として発表した。 (2)に関しては、黄庭堅の詩集に加えて、欧陽脩の文集を中心に取りあげ、その全体像と文学詩的特質に関する検討を行った。欧陽脩の文集の整理・編纂に関するこのような視点からの研究はこれまでになく、その点で重要な意義を持つ成果である。その成果は前掲(1)の論文に加えて、『文学』に論文「中国宋代における生成論の形成-欧陽脩・「集古録跋尾」から周必大「欧陽文忠公集」へ」として発表した。 上記(1)(2)によって、宋代の詩文集の注釈において作者親筆の草稿およびそれに類する文献資料の持つ意味が明確に認識されていたこと、またそれらの資料に基づいて生成論的な文学研究の視点が形づくられつつあったことなどを明らかにした点で少なからぬ意義を有する。
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Research Products
(2 results)