2011 Fiscal Year Annual Research Report
宋代における蘇軾・黄庭堅集の整理・編纂と注釈に関する総合的研究
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22520358
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
浅見 洋二 大阪大学, 文学研究科, 教授 (70184158)
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Keywords | 宋 / 文集 / 別集 / 注釈 / 蘇軾 / 黄庭堅 |
Research Abstract |
本年度は、前年度に引き続き全体の基礎となる研究に重点を置いて進めるとともに幾つかの発展的研究に進んだ。 先ずは最も基礎的な作業として、宋代に編纂された蘇軾・黄庭堅集をはじめとする各種別集について、その編纂状況を幅広く検討し整理した。上記の基礎作業と並行して、蘇軾・黄庭堅集における「詩集」と「詩文合集」の違いに関する研究を行った。 また、蘇軾・黄庭堅詩の注釈に活用される真蹟・石刻等のテクストに関して、これまでの研究成果を踏まえて発展的な研究を行った。これらのテクストの採録状況を宋代の各種資料(特に題跋等)を参照しつつ整理するとともに、そこに現れた文学観の特質を明らかにした。その概要は次の通りである。 真蹟・石刻等のテクストは、集本として制定される以前の段階にあるテクストの多様な姿を伝えるものである。宋代には、それまで注目されてこなかった文学作品のテクストの多様な姿に対する関心が高まることによって、文学作品の生成過稚を明らかにする研究姿勢が文人たちの間に広く見られるに至る。 本年度は特に上記の研究と連動する形で欧陽脩集に関する研究を行い、その研究成果については、2011年9月に中国開封(河南大学)にて開催された第7回宋代文学に関する国際シンポジウムにおいて「宋代文本生成論之形成-従欧陽修撰《集古録跋尾》到周必大編《欧陽文忠公集》」と題する口頭発表を行った。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
蘇軾・黄庭堅詩の注釈に活用される真蹟・石刻等のテクストに関する研究については、国際シンポジウムにおいて関連する発表を行うなど所期の成果を得ることができたが、他の課題に関してはなお一層の努力を要するため。
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Strategy for Future Research Activity |
当初の研究計画に従って、それを確実に処理することにつとめる。現時点では、計画を根本的に変更する必要はないと判断しているが、やや課題を多く設定しすぎた嫌いがあるため、問題の絞り込みがある程度は必要となるかも知れない。以後、特に重点的に取り組みたいのは黄庭堅の詩文集に関する研究であり、その方向性を徹底したい。
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