2011 Fiscal Year Annual Research Report
近世初期の和刻本と朝鮮版漢籍との関係についての研究
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22520370
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Research Institution | Sophia University |
Principal Investigator |
長尾 直茂 上智大学, 文学部, 教授 (30323182)
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Keywords | 和刻本 / 朝鮮本 / 韓本 / 漢籍 |
Research Abstract |
本年度は主に小説類の和刻本と朝鮮版とを比較・対照することに意を注いだ。特に重点的に調査を行ったものは、明代に成立した『世説新語補』と同じく明初の作である小説『剪灯新話』の二書である。前者は南朝宋・劉義慶『世説新語』に、明・何良俊『語林』より挿話を増補した書籍で、明代の万暦以降に成立し、早くに朝鮮に齎来されて朝鮮版が刊行された。本年度は、このテクストの一種である天理図書館今西文庫所蔵本と元禄七年刊の和刻本とを詳細に比較・対照する作業を行い、両者の異同についての調査結果を得た。この詳細については、来年度(24年度)に学会発表もしくは学術論文の形で公にする予定である。 後者は明の永楽年間に刊行を見た後、やはり朝鮮半島に伝えられ、朝鮮の学者林〓 によって注釈が施されて『剪灯新話句解』とういう書物が成立した。これは本邦の中世末には齎来され、古活字版が刊行されて、江戸時代の慶安元年には和刻本も刊行された。本年度は予備調査的に朝鮮版のテクストを、国立公文書館内閣文庫や台湾大学図書館等で披見し、和刻本と比較・対照する作業を行った。その結果、多少の新知見は得たが、現段階ではこれを整理して公にする段階には至っておらず、再来年度(25年度)への継続課題として研究・調査を続けてゆく予定である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本来、本年度は『世説新語補』と『剪灯新話』の二書の調査を進める予定であったが、前者を主に研究したため、後者の調べはいささか手薄になった。しかし、本年度における後者についての研究は準備段階的なものであることは当初の予定通りであるため、上記のように判断した。
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Strategy for Future Research Activity |
すでに9にも記した通り、本年度は23年度にある程度の成果をえた『世説新語補』に関する研究成果を公にする。これに加えて、準備段階にある『剪灯新話』について、さらに詳細な研究を進めてゆく。
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Research Products
(3 results)