2012 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
22520374
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Research Institution | Hosei University |
Principal Investigator |
久野 量一 法政大学, 経済学部, 教授 (70409340)
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Project Period (FY) |
2010-04-01 – 2014-03-31
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Keywords | キューバ / 国民文学 / カリブ / ポストコロニアル |
Research Abstract |
平成24年度は、研究代表者が滞在していたブエノスアイレス(アルゼンチン)で研究を実施した。 関連図書の入手とその分析については、予算の制約もあったために最終年度に持ち越しとなった部分もある。とはいえ、以下に述べるとおり、研究の具体的な実施について支障があったわけではない。 研究実施計画のとおり、研究代表者はニューヨーク、プエルト・リコ、ロンドンで研究調査を行ない、関係機関を訪問するとともに、研究者や作家と意見交換を行なった。また、滞在していたアルゼンチンでは、コルドバ大学の研究者、ラプラタ大学の研究者、ブエノスアイレス大学の「イスパノアメリカ文学研究所」内の「カリブ研究班」メンバーとともに、スペイン語圏、仏語圏、英語圏カリブ文学に関する討議を定期的に行なった。国際学会では研究成果を発表した。 今年度の研究実績としては、前年度に参照項として設定した「プエルト・リコ性」を踏まえ、1990年代以降の「キューバ国民文学」の編成の様態を、キューバの内と外の双方から検討を進めた。 とりわけ今年度は外から「キューバ性」を問い直している亡命作家の思想的立場について文献を渉猟し、考察を進めた。この作業を通じ、亡命キューバ人作家たちは「キューバ性」の概念について、「ポストコロニアル」の観点から考察を行なっていることを実証できた。従来の研究では、1970年代を中心にキューバ内部で議論された「ポストコロニアル性」に焦点が当てられていたが、本研究によって、それとは観点の異なる立場を検討することができたものと考えている。この研究成果は今後、キューバだけでなく、スペイン語圏カリブ、仏語圏・英語圏カリブといったより広い地域の文学現象と比較検討する材料にもなりうると考えている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当初の研究実施計画にある関連図書の入手とその分析については、若干の遅れが出ているが、必要となる文献を別途補い、研究調査そのものは順調に進んでいる。 研究成果の公表については、国際学会での発表(査読付き)、海外の大学の研究会における発表を行なっている。また日本語でも論文を発表しており、成果公表の頻度および内容については、事前の計画と異なるものではないと判断している。 したがって、本研究課題の達成度はおおむね順調に進展しているものと考えている。
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Strategy for Future Research Activity |
平成25年度は最終年度となるため、最終的な成果物を完成させたいと考えている。 文献の考察が中心となり、引き続き関連図書の収集につとめる。また、6月と9月に海外からの研究者・作家の来訪が予定されているので、彼らと意見交換を行なう予定である。 日本における当該研究分野の研究者の参集する研究会に参加し、口頭発表を行なう予定を立てているほか、論文を執筆して成果を公表していく。 研究会のスケジュールにもよるが、9月までには口頭発表を終わらせ、年度末までに論文の執筆に当てる予定にしている。
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